🔴💞霊視する女子大生の禁忌録、第3話 狐の憑婚

🔴「💞霊視する女子大生の禁忌録」、https://x.gd/HDGIY
💞民俗学調査で暴かれる血塗られた因習、首に咲く怨念の顔、血族で交わる村、その禁忌を直視しないで。
 第1話 人面瘡
 https://x.gd/QxCIG
 第2話 僻地の落人村
 https://x.gd/ZSJQl
 第3話 狐の憑婚
 https://x.gd/oQcFcd

今回は、マアちゃんは登場しません。登場前のプロローグみたいなものです。今回の相手は、強力な霊、九尾の狐となります。


 岩手県の山奥、小野能勢村では、村人以外門外不出、口外を憚られる収穫祭の儀式が八年に一度行われていた。収穫祭の熱に浮かされたような喧騒が去って数日後、儀式の主役、狐神の依り代を務めた杵崎恭子の体に、おぞましい異変が現れた。

 最初は、背骨のあたりにわずかなざわめきを感じるだけだった。夜の静寂の中で、皮膚の下から何かが這い回るように蠢き、微かな熱を帯びる。朝になるとそれは幻のように消えていたが、日を追うごとに変化は明確になった。

 恭子は毎朝、鏡の前で背中を確かめては、ざわめきが広がるのを感じて胸をかき乱された。あの儀式の夜、狐神が体内に残した「何か」が、ゆっくりと自分を蝕んでいるのではないか。恭子は底知れぬ不安に駆られ、闇を恐れて眠れぬ夜が重なっていった。

 やがて、脊柱に沿って細い赤褐色の毛が、土壌を突き破る芽のように生え始めた。最初は数本だったものが、徐々に呪わしい帯状に広がり、やがては狐の剛毛のような質感を持つ「獣の毛皮」へと変貌を遂げていく。触れると脈打つように熱く、闇の中で金色の光を帯びるその箇所からは、時折、皮膚の下で狐が啼くような鋭い幻聴が恭子を苛んだ。

 恭子は狂ったように一人でその毛を抜こうとしたが、抜くたびにねっとりとした血がにじみ、激痛とともに新たな毛がすぐさま生え揃う。体が自分のものでなくなっていく恐怖が、恭子の心を内側から食い破り、食欲は失せ、鏡を見るたびに絶望の叫びが喉元まで突き上げた。

 鏡の前で背中を晒した恭子は、震える指でその毛皮を撫でた。毛は意思を持つ生き物のように反応し、指に絡みついた。冷たい肌の奥で、何かが蠢いている。

 恭子は涙を浮かべ、毛皮を掻き毟ろうとしたが、指先が触れるたびに背筋を駆け上がるのは、あの夜の忌まわしくも甘美な記憶だった。狐神の憑依が、体に深く根を張り、恭子の意志を嘲笑うように広がっていく。その絶望が、冷たく胸を締めつけた。

 儀式の夜、狐神が宿った際の記憶は、今や鮮明な色彩を持って蘇る。淫らな宴、魂を削り取るような交合、血と白濁に塗れた森の闇。あの夜、恭子の人格は一時的に狐に食い殺されていたのだ。今、その残滓が体に根を張り始めている。

 恭子は儀式の興奮を思い出し、体が不自然な熱を帯びるのを感じては、恥辱と恐怖の混濁に身を悶えさせた。あの夜の快楽が、狐の呪いとして肉体に刻印されているのだと悟り、恭子は暗い部屋で一人、ガタガタと震え続けた。

 恭子は耐えかねて、儀式の相手、共に地獄を見た吉村省吾に相談した。村全体を重苦しい霧が包み込む夜、神社の裏手で二人は密かに落ち合った。恭子は震える手で浴衣をはだけ、月光の下で背中を露わにした。

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