🔴「💞霊視する女子大生の禁忌録」、
https://x.gd/HDGIY💞民俗学調査で暴かれる血塗られた因習、首に咲く怨念の顔、血族で交わる村、その禁忌を直視しないで。
第1話 人面瘡
https://x.gd/QxCIG 第2話 僻地の落人村
https://x.gd/ZSJQl 第3話 狐の憑婚
https://x.gd/oQcFcd 第4話 省吾の告白
https://x.gd/Nq5DgJ ぼくの故郷、岩手県の小野能勢村では、秋の収穫祭に「狐の憑婚(つきこん)」という儀式が行われます。八年に一度、村の処女の中から一人が選ばれ、狐神の依り代となります。
狐神は古くから村を守る守護霊とされていますが、その実体は酷く禍々しいものです。村の処女に憑依すると人格を完全に奪い去り、底なしの淫らな欲求を露わにして、|贄《にえ》の精気と魂をゆっくりと喰らうのです。村人たちはそれを豊穣のための必要な代償と信じ、霧の夜に怯えながら、この呪わしい儀式を繰り返してきました。
ぼくの両親は、二十六年前に村を出て盛岡市に住まいを移しましたが、親族の多くがまだ村に残っているため、ぼくは幼い頃からたびたび帰郷していました。
事件は、ぼくが岩手大学の二年生だった秋に起こりました。ぼくはその儀式の「贄」に選ばれたのです。幼少期から体が弱く、女のように細い体躯をしていたぼくは、狐が好む「柔らかな器」として最適だったようです。引き受ける報酬として、村の基金から二十万円が出ることになりました。奨学金で学費を工面していたぼくにとって、二十万円という大金はあまりに魅力的でした。
ぼくは喜び勇んで贄となることを承諾しました。当時のぼくは、村の風習をどこか冷めた目で見ており、所詮は古臭い奇祭の類だろうと高を括っていたのです。しかし、選ばれたと告げられた瞬間、胸に言いようのない不安が広がりました。あの村の澱んだ空気が、逃げ場のない重圧となって、ぼくの肩にのしかかる予感がしたのです。
儀式に先立ち、数日間の山籠もりが行われます。村に住んでいないぼくは、ただの形式的な修行だと思っていました。しかし、山籠もりの間、森の木々が不気味に囁き、無数の金色の目が闇からぼくを覗き見ているような気配に、常に包まれていました。孤独と不安が毒のようにぼくの心を蝕みます。夜になると、どこからともなく響く狐の啼き声が耳にこびりつき、一睡もできない日が続きました。
神社には、神主の娘である杵崎恭子さんがいました。高校三年生の彼女は、華道部の部長を務める村のアイドル的な存在でした。黒髪を優雅に結い、穏やかな微笑みを絶やさない姿は、まるで古い細工の人形のように儚く見えました。ですが、その瞳の奥には、時折、鋭い獣の輝きが閃くのです。彼女こそが儀式の導き手でした。
ぼくが心臓を高鳴らせて神社に足を踏み入れたとき、迎えてくれた恭子さんの手は氷のように冷たく、それでいて狐の息吹のような、腐敗した果実の甘い匂いがしました。
「一緒に耐えましょうね、省吾さん」
何を耐えるのか――その問いは、予感めいた呪いとなってぼくの魂に突き刺さりました。恭子さんの冷たい指先に触れた瞬間、ぼくは儀式の真の重みを突きつけられ、背筋が凍るようなざわめきを感じました。