掲示板の安価で人生を変えようとする主人公。
その発想があまりにもぶっ飛んでいて、思わず笑ってしまった。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『安価で俺は変わろうと思う』
https://kakuyomu.jp/works/16817330649287544971ジャンルはラブコメ。
ランキング巡回ログ #18で紹介した作品と同じ作者の作品だ。
あちらが「静かに感情を掘り下げていく物語」だとすれば、
こちらは「感情を動かしながら前に進んでいく物語」という印象を受けた。
そのためか、本作でもやはり人間関係や感情の機微の描写は非常に丁寧だが、物語の体感はかなり違う。
物語は、かなり印象的なシーンから始まる。
ずっと気になっていた女の子に勇気を出して声をかけた主人公。
返ってきた言葉は、
「ごめんなさい……貴方、誰?」
その一言で心が折れ、主人公はその場を去る。
主人公の自己評価はかなり低い。
休日は家で掲示板を眺めながらネットサーフィン。
――実に空虚だ。
そんな主人公が思う。
変わりたい。
そして彼が選んだ方法がこれだった。
「――俺にはもう、“安価”しかない」
……ぶっ飛んでいる。
思わず笑ってしまった。
いったいどんな展開になるんだ、という期待が一気に引き上げられる、非常に強い導入だった。
この後の展開はネタバレになるので書かない。
だが一つ言えるのは、
主人公はこの選択を冗談で終わらせないということだ。
掲示板の安価に従う。
その無茶なルールを、本気で自分の行動原理にしていく。
だからこそ、この物語は単なるネタで終わらない。
ふざけた設定のコメディのはずなのに、
主人公の感情だけは驚くほど真剣だ。
そのアンバランスさが、読んでいて妙に心に残る。
笑えるのに、どこか他人事に思えない。
不器用で、遠回りで、それでも変わろうとしている姿に、つい目が離せなくなる。
私のおすすめレビューでは☆3を付けている。
https://kakuyomu.jp/works/16817330649287544971/reviews/822139841137447881青春のもどかしさや、感情の機微を味わいたい読者には、特におすすめできる作品だと思う。
「変わりたい」と願ったとき、人は案外こういう馬鹿げたことに縋るのかもしれない。
でも、その馬鹿げたことに人生を賭けようとしている主人公から、どうしても目が離せないのだ。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。