貞操逆転コメディかと思って読んだら、かなり繊細な青春心理劇だった。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『貞操逆転、女子高校前、コンビニバイト。』
https://kakuyomu.jp/works/16818093081624854077ジャンルとしてはラブコメ。
ただし、いわゆる「貞操逆転コメディ」を想像して読むと、少し印象が違うかもしれない。
主人公はある日、貞操観念が逆転した世界で目を覚ます。
ただし男女比は極端に偏っているわけではなく、社会そのものは比較的普通に回っている世界だ。
この設定だけ聞くと、どうしても下ネタ寄りのコメディを想像する人も多いと思う。
実際、本作にはそうした表現もあるので、苦手な人は注意した方がいいかもしれない。
だが読み進めるほど、焦点は別のところに移る。
本作が描いているのは、
貞操観念が逆転した世界での男女の心理のやり取りである。
例えば――
現実のラブコメでよく見かける、からかってくる女子や距離の近いヒロイン。
「メスガキ」や「ツンデレ」といった女性キャラの振る舞いが、この作品では男性キャラに現れる。
逆に、現実では男子が抱きがちな感情や戸惑いが、女性側の視点として描かれていく。
読んでいるうちに気づく。
これは単なる設定の入れ替えではなく、
男女の恋愛心理を“鏡写し”の形で描いた作品なのだ。
貞操観念が逆転した世界。
しかし社会そのものは大きく崩れているわけではなく、日常は成立している。
だからこそ、些細な言動や距離感のズレが、妙に生々しく感じられる。
「もし現実がこうだったら、自分はどう感じるだろうか」
そんな問いが、読みながら自然と浮かんでくる。
一見するとコメディ。
だが実際には、人間関係の機微や感情の揺れがかなり丁寧に描かれている作品だ。
さらに印象に残ったのが、主人公の自己認識である。
彼は自分のことを「ビッチ」と呼ぶ。
この言葉だけを見ると軽い自虐のようにも見えるが、
読み進めるほどに、それだけではないように感じられてくる。
なぜ彼はそう自分を定義しているのか。
その言葉は、周囲との関係の中でどう形作られてきたのか。
物語はその背景をすぐには説明しない。
だが、だからこそ気になってしまう。
この“引っかかり”が、作品の読み味を一段深くしているように思う。
個人的には、ランキング巡回ログ #6で書いたような
「人間関係や感情の機微を丁寧に描く作品」がかなり好きなので、本作はまさにそのタイプだった。
派手な展開ではなく、人の内側にある感情をじわじわと描いていく物語。
そういう作品が好きな読者には、かなり刺さるのではないだろうか。
私のおすすめレビューでは☆3を付けている。
https://kakuyomu.jp/works/16818093081624854077/reviews/822139841088186705こういう作品と出会えるから、ランキング巡回はやめられない。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。