ダンジョンだと思った?
――残念、ヤクザです。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『ダンジョンは金になる。』
https://kakuyomu.jp/works/822139837142857286タイトルを見ると、多くの読者はダンジョンで稼ぎ、成り上がっていくタイプの無双譚を想像するかもしれない。
実際、本作にも借金を背負った主人公がダンジョンアタッカーとして才能を開花させ、金を稼いでいく側面はある。
だが、本作の本質はそこではない。むしろ――
これはヤクザものだ。
アタッカーたちは会社に所属しているが、その関係性はクランというより“組”に近い。
組織同士の対立や報復、縄張り争いまで含めて描かれるため、読んでいる感覚はむしろヤクザの抗争劇だ。
ダンジョン無双だと思って読み始めると、いつの間にか極道ものを読んでいる。
このズレがまず強烈に面白い。
さらに特徴的なのは、安易な「ざまあ」に寄らない点だ。
この作者は別作『穴中ヌルの華麗なる貴族生活』でもそうなのだが、単純に力で相手を排除すれば終わり、という展開にはしない。
排除した後に生じる報復や恨み、組織同士の力関係といった“その先”までを前提に物語が動いていく。
世界がきちんと「報復や利害」で動いているのだ。
ただし、この作風は読者の好みをかなり分けると思う。
まず、主人公を含めて登場人物の多くがいわゆる「普通の人間」ではない。
法律や常識から外れた生き方しかできない、どこか歪んだ人間たちだ。
この作者は、そういう人物を描くのが抜群に上手い。
しかしその分、一般的な勧善懲悪や爽快なカタルシスを期待すると、かなり感情移入しづらい作品でもある。
ダンジョン無双のような分かりやすい快感よりも、「利害で動く人間関係」を楽しめるかどうかで評価が分かれるタイプの作品だろう。
私はこの作品におすすめレビューで☆2をつけている。
https://kakuyomu.jp/works/822139837142857286/reviews/2912051595987766678作品としての完成度は高いと思うが、こうしたキャラクターの好みやカタルシスの弱さも加味した評価だ。
それでも、この“力学で動く世界”に面白さを見出せる読者には、一気に引き込まれるタイプの作品だと思う。
ダンジョン攻略とみせかけた、徹底した抗争劇。
ランキング巡回をしていると、こういう一風変わった作品に出会うこともある。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。