「不遇スキル」と呼ばれる理由に、時代と戦争を通して納得できる作品だった。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ
~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~』
https://kakuyomu.jp/works/822139845588533465この作品は、いわゆる“不遇スキルもの”に分類される作品だ。
だが読んでみると、その中でも設定の説得力がかなり強いタイプの作品である。
最近よく見かける「外れスキル」「不遇職業」の物語では、そもそもなぜそれが外れなのかが少し曖昧なことも多い。
しかし本作では、土魔法の特性と貴族社会が求める能力の関係がきちんと描かれている。
なるほど、この世界では確かに土魔法は評価されにくい。
そう自然に納得できるだけの背景が用意されているのだ。
そして物語の大きな転換点となるのが、大戦争による技術革新である。
近代兵器の登場によって戦争の形が変わり、魔法技術の在り方も変化していく。
対魔法結界のような技術が登場することで、これまで絶対的だった貴族の大魔法の優位性が揺らぎ始める。
その結果として、これまで軽視されていた土魔法の価値が見直されていく。
単なる逆転劇ではなく、時代の変化によって評価が変わる必然として描かれている点が、この作品の面白さだと思う。
個人的にはこういう作品は好みで、☆3でおすすめレビューも書いている。
https://kakuyomu.jp/works/822139845588533465/reviews/2912051595594527470時代の変化や社会構造の中でスキルの価値が変わっていくような、整合性のある戦記や世界設定を楽しみたい読者には、特におすすめできる作品だと思う。
ただし、この作品は戦争描写や近代兵器の扱いがかなりリアル寄りだ。
そのため、説明や状況描写も多く、サクサク読めるタイプの作品ではない。
整合性を追求すればするほど、テンポや読みやすさとは両立しにくくなる。
私はこうした骨太な作品はかなり好きだ。
だが一方で、以前「もう少し社会のリアリティが見たい」と書いたランキング巡回ログ #7の作品がカクヨムコン10受賞作であることを考えると、結局このバランスに正解はないのだろう。
読者によって、「読みやすさ」と「世界の説得力」のどちらを重視するかは大きく変わる。
その意味でも、本作はかなり“リアリティ寄り”の作品だった。
ランキング巡回をしていると、こうした骨太な作品に出会うこともある。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。