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としよりの戯言:憂鬱な4年

 もうすぐ憂鬱な4年が始まる。
 いや既に始まっているといってもいいだろう。6日後トランプ大統領が就任するからである。彼の殆どの発言にうんざりさせられ、彼の取り巻きの発言に調子に乗ったバカとしか思えず、彼のいいなりになる人々を「結局、おまえらみたいなのがいるから世の中は悪くなるんだ」と毒づく、そうした「せっかく終わった4年前の悪夢」がまた繰り返されるのだ。彼がテレビに登場する度にうんざりし、悪態をつき、最後はチャネルを変える。決してテレビ機器にとっても良いことではない。
 8年前、彼の取り巻きにはボルトン、ポンペオなどがいて(彼らはそれなりに優秀だったはずだが)第一次政権で全て離脱することになった。もしかしたらいずれトランプを制御できるだろうと考えていたのかもしれないが、狂気に巻き込まれただけであった。「いいなりになった」代表たちも最後まで持たなかった。ペンス・マティス・フリン・ティラーソン。
 正気と狂気が闘えば狂気が残る、そういう事だ。
 そしてまた代わり映えもない景色。更にレベルの低い取り巻きたちが出現している。バンス、ラトニック、マスク。いずれもおそらくは4年もたないだろうが、こういう愚かな人間たちには本当に苛々させられる。おそらくは「過激なことを言う」競争が始まり、自滅していくのだ。一回目は許す。しかし二回目は許したくない。
 既に国際社会は狂気に怯えている。グリーンランドを奪うためには軍事行動を辞さない、カナダはアメリカの一部になるべきだ、メキシコ湾はアメリカ湾となるべきだ。愚劣極まる。
 要は中国と同じだ。ロシアと何の変わりもない。いや、民主主義で「帝国主義」を選んでいるだけに質が悪い。
 彼は自らをマッキンリーに例えているらしい。古くさいこと夥しい。マハンの地政学など今更国際政治の教科書にだって載っていない。その結末は2回の世界大戦に集約されたからだ。その上、政治とビジネスの混同は更に深化していくに違いない。
 新大統領が「グリーンランドとカナダの併合を認めるなら、ロシアによるウクライナの占領、中国による台湾の併合を認める」などと言いだしても不思議ではない。それは一種のディールだからだ。本来アメリカの持っていた自由・民主主義という価値観は帝国主義・独裁主義などと交渉はしてもディールはしない。だが、彼はそんなことを平気で行い、同盟国をその渦に巻き込みかねない。
 そんな話を4年間聞かされることがうんざりなのだ。
 If Donald Trump, Xi Jinping and Vladimir Putin, all three unwanted and unnecessary old statesmen would somehow disappear from the scene, this year would be a great year.
 これが本音である。特にアメリカは質が悪い。ロシアや中国は「命を懸けないと政権批判」は出来ない実情があるが、アメリカは「命を懸けないと政権批判できない社会を」あえて今から作り出そうとしているからだ。 清教徒の子孫たちは「先住民」となり、酋長としてのトランプを讃え、踊っているのだろうか?

 そういえば・・・マッキンリーは結局、アナーキストに暗殺されたのだが、それを知っていて彼は自分をマッキンリーに例えているのだろうか?
 しったこっちゃないが。

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