• 詩・童話・その他
  • エッセイ・ノンフィクション

【感想のお部屋】 『路面電車で春を待つ』  〜 薄紅色に包まれた春の揺らぎ 〜




※※ はじめに ※※

この小部屋を見つけてくださって、ありがとうございます。
こちらは、わたしがkou様の作品を読ませていただいたときの、感想などを綴っているお部屋です。
今回はこちらの作品です。

『路面電車で春を待つ』 kou 様


https://kakuyomu.jp/works/822139845031661972

(注)今回の【感想のお部屋】はいつもより長めになっております。m(_ _)m
   事前におことわりを置かせていただきます。



※※ 以下、ネタバレを含みます ※※









⚫︎ 薄紅色のヴェールの向こう側

とにかく。
とにかく『うつくしい』の一言に尽きる物語でした。

以上!



…と、もう言葉がいらないのでは? と思うほどの、本当に美しく、胸を打たれる作品です。

春の霞がぼんやりとかかっているような、
薄紅色の柔らかいオーガンジー越しに見る、どこか夢の中の景色のような、


春香さんの背中を叩く路面電車からのリズムなど、
作中ではちゃんと“体感”が表現されているにもかかわらず、
わたしには“儚げで美しく”“浮遊感のある”
何度も読んで、その“ふんわふんわ”に包まれたい。そんな作品でした。



…これでは【感想のお部屋】にならないので、『路面電車で春を待つ』への愛を叫びたいと思います笑



⚫︎ 膝をきちんと揃えて座って、路面電車に揺られている

そんな姿を想像させる春香さん。

   それにも関わらず彼女が制服を着ていたのは、塾での規則を守っていたからだ。(本文より)

受験のために通っていた塾へ行くのに「塾の規則だから」ともう卒業した中学校の制服を着ているんですよね。
この一節だけで彼女の、きちんとした育ちや誠実さという穏やかな佇まいの、素敵なお嬢さんの姿が立ち上ります。

   まだ蕾の固い桜並木が、まるで尖った鉛筆の先のように寒空を刺している。(本文より)

この『尖った鉛筆の先』という描写があまりに繊細で美しく、寒空だけじゃなくて、わたしのHPにもクリティカルヒットしました。



⚫︎ 何気なく目を向けた窓の外

さ、佐京光希くんだ(*´艸`*)
佐京光希くん。過去に春香さんも助けたことがあるのですね。
きみって子は本当になんていい子なのでしょう🥲✨

    窓を開けて声をかける勇気はなかった。けれど、一度火がついた鼓動は収まってくれない。(本文より)

穏やかに座っていた、春香さんの心臓の音が聞こえてきそうです。
思わず、ドキドキして左胸に手を当ててしまいました。あぁ切ない…。


その後、春香さんと光希くんがSMSで会話をしている最中も、路面電車はもちろん動いています。
   
   車内の吊り革がメトロノームのように揺れている。
     (中略)
   路面電車外の景色が移り変わり、確実に離れていくのに、不思議と彼との距離が近く感じられる。(本文より)
 
実際の距離より、今SMSで会話をしている心の距離に重きを置いている春香さんの、

佐京光希くんを見つけた
   ↓
声をかけられない
   ↓
小さな勇気を出してSMSを送信
   ↓
その後に続く会話…。

春香さんの淡い想いは目に見えないのに、言葉の“そこ”には間違いなく体温を持って存在していて。
とても美しく、本当に素敵でした。



⚫︎ 年度が変わることの、期待感より焦燥感

春香さんが、光希くんの進学先の高校名を勇気を持って質問する、その送信を終えたあと。
春香さんは少し画面から目を離し、空と遠くの山へ目を向ける場面。

三寒四温で季節はゆっくりと、でも確実に進み、木々やさまざまな花が芽吹き軽やかな春を迎えます。
“スタート”“出会い”“新しい始まり”そんな“新しい”を待ちわびる季節・春。
でもここでの春香さんは、“新しい”に目を向けていません。
“年度の切り替え”という、『頭では最初からわかっている終わり』だとしても、
そのあまりにも急激な断絶に近い“春”を少し残酷だとまで、春香さんは思っています。

    春は出会いの季節と聞くが、今の春香にとっては、積み上げてきた居場所が足元から崩れていくような、頼りない季節でしかなかった。(本文より)

…この一文がとても胸に迫りました。
まさに
「名前のない透明な空白の中に浮かんでいる」(本文より)状態なのでしょうね。
この“年度変わりの焦燥感”をとても鮮やかに言語化されていて、ここでも左胸を抑えました。
(読んでいる最中、ずっと心臓を抑えてたと言っても過言ではないです)



⚫︎ キャッチコピー回収

今回もとても素敵なキャッチコピー。

   『それぞれ二つの道が、一つの運命に繋がる』


返信を待っていた春香さんへ届いた、佐京光希くんからの返信は…。

    春香は目を見開いた。
    それは、春香が4月から通うことになる学校だ。(本文より)



『春香が・4月から・通うことになる・“学校”!!』

うわーん。・゜・(ノД`)・゜・。
よかったねぇ、春香さん🌸



    その瞬間、世界の色が変わったように見えた。
    古い車両の振動は、今はもう、新しい季節へ向かうための力強い鼓動に聞こえる。
    窓から見える桜の枝。
    その蕾はまだ固いままだったけれど、その内側には、爆発しそうなほどの春が、
   鮮やかなピンク色が、確実に蓄えられているのだと確信できた。(本文より)


ここで、ずっと全体を纏っていた薄いヴェールが、ぶわっと勢いよく剥がされて、
物語の解像度が急に上がり、鮮明になりました。


桜の蕾は寒空を刺す尖った鉛筆の先のように、無機質で硬質なものに見えていたのに、
見える景色は全く変わらないのに、
その蕾からは「爆発しそうなほどの春」が内在されている、と春香さんは感じる。

春香さんはきっとたくさんの感情を面に出すタイプではないのでしょうけれど、
「同じ高校名」を見た時の、その眼差しはどれほど熱く輝いていたのでしょうか、
と想像する時。

春香さんが
佐京光希くんがくれたSMSを、
その高校名が浮かび上がる画面を、
「彼がどこへ向かうのか」を知った時を、
待ち続けていたと感じたこれからの『何か』を、

全てをぎゅっと心で抱きしめたのだろうな、と感じました。
それらを心で抱きしめている春香さんが、あまりにもいじらしくて、かわいらしくて。
そんな春香さんごと、そっと抱きしめたくなりました。



⚫︎ おわりに

物語全体が本当に美しく、揺れ動く少女の素敵な素敵な、春のお話でした。

何度も胸を打たれました。
こうやって【感想のお部屋】を綴っている今でも
この物語の、切なさと美しさと希望とに、頬が紅潮してきます。

   『一緒のクラスになれると、いいですね』

春香さんの、その小さな小さなの願いが、どうか叶いますように。と
わたしの“5,402円”を捧げにいきたい。そんな気持ちになりました。


春まだ遠い衣更着月ですが、
わたし自身も、『希望と焦燥が入り混じる季節』と感じてきた春を目の前にして、

このような希望への物語に出会えたこと。
春に対して穏やかな眼差しを向けることができたこと。
そんな素敵なお話を読むことができたこと。
とても嬉しかったです。


これから来たる春。
ひと足さきにこの物語を読んだおかげで、
薄紅色のヴェールで包まれたような、やさしい気持ちで迎えられそうです。
同じ景色を目にする時、後半の春香さんのように美しい受け取り方をしていきたいな、と感じました。
素敵なお話でした。ありがとうございました。


では、また『感想のお部屋』でお会いいたしましょう👋
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。








kou様へ

『路面電車で春を待つ』
心にぽかぽかと、春がやってきました。
春を運んできてくれるのは、クララだけではありませんでした。(byハイジ)

前回の【感想のお部屋】で、
「kouさんの作品を遡って、佐京光希くんに会いにいきたいと思います。」と書きましたが、
新作でこんなにすぐに佐京光希くんに会えるなんて!
とても嬉しかったです。
あとがきで、読者向けに過去作のリンクも貼ってくださっていたので、
物語の世界がますます広がったことが嬉しく、こちらも楽しく読ませていただきました。

『路面電車で春を待つ』の【感想のお部屋】を綴るにあたり。
・純粋に『路面電車で春を待つ』を読んだ段階で書くのか
・あとがきでのリンク作品を全て辿ってから書くのか
に逡巡しました。
が、先にリンクを辿らずに、まずは『路面電車で春を待つ』だけを読んで感想を書くことにしました。
それは、“今のわたしに見えた景色を、そのままで閉じ込めておきたかった”からです。

そして、『路面電車で春を待つ』の感想を書き上げた今、いよいよリンク先の佐京光希くんへGO!です  🏃🏻≡ ³₃≡≡≡

数行ずつながら、リンクの作品たちの【小さな感想のお部屋】も書かせていただきます。


⚫︎ 『少女は舞台で輝く』
春香さんとの出会いは、このような形だったのですね。
ペトリコール、古武術介護、リア王、「日本には握手という文化はない。」…
いろいろ気になるワードが満載でした。
キツネさんがあそこで回収されるとは!
「またね」って。
光希くん、あなた、ご自身の魅力に も少し自覚を持って。

冒頭、光希くんがひとり バス停で雨音に聞き入る場面に
ショパンの前奏曲「雨だれ」が頭の中に流れていました。
特に中盤、あの激しい雨の部分です。
光が差すような物語の幕の閉じ方といい、今作全体を通して脳内で流れる音楽として
「雨だれ」がとても似合う作品だと感じました。



⚫︎ 『絆は離れていても、そこにある』
あぁ…。とてもよかったです。(まだ作品の余韻に浸っている…)
タイトルも美しい。
自分は弱い、みんなに迷惑を「撒き散らしてきた」と思っている春香さん。
でも初穂さんをはじめクラスのみんなからの色紙での励ましという“横の絆”と、
少年(光希くん)からの「心に宿る意思の強さ」の励ましという“縦の絆”を感じる。
周りに支えられていたことを知って、強くあろうとする春香さん。
手術の大成功を祈ります!
そして、初穂さんのお話もあるのですね✨(初穂さんの過去作リンク)
リンクを辿って、どんどん枝分かれしていって、kouさんのサイト内で迷子になるかもしれません笑



⚫︎ 『ミニシアターで恋をして』
……………。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
これは叫ばずしてどう感想を書いたらいいんだぁぁぁぁぁぁぁぁ。
いやいやいやいやいやいや。いろいろとまぁ、いろいろとです。
くーー(/ _ ; )

とても素敵なお話でした。
偶然に会う映画館。
“隣に座ってる”に気づく春香さん。

映画「過去の扉」とのリンク。

“何も起きていないのに、全部起きているところ”がすごいです。
キスもない。告白もない。
でも、心は完全に動きはじめている。
春香さんの心で連呼される
(私、どうしちゃったんだろう?)


しかも胸の痛みって。
発作じゃない。心臓の病は再発ないと言われている。でも心臓が暴れてる。
“命に直結している器官”が恋で揺れる、という構図。
これはもう……うわぁぁぁぁぁぁです。

「ごめん、まだ手を握っていたなんて」 …ですって?
光希くん、あなた、ご自身の魅力に も少し自覚を持って。
本日、2回目ですよ?


あぁ『ミニシアターで恋をして』に相当持っていかれました🫀💣🤯



⚫︎ 『二年後の流れ星』
(私、どうしちゃったんだろう?)の春香さんが、し、嫉妬?!

というよりは。


再会が嬉しかったのに。
久しぶりにお話ができて、あんなに胸が温かかったはずなのに。
なのに。

泣いてる理由もわかっている。
自分の気持ちを認めたくない段階の嫉妬。

春香さんの想いの、表には見せない激しさを見たように感じました。

「まるで虹が砕け散ったかのような悲しさ」という表現も美しかったです。

【流れ星に願い】も勉強になりました。
もう一つの世界線。物語はこういうことができるからおもしろいですね😊




⚫︎ 『忍び寄るスニーカー』
リンクを辿っていたら深夜になってしまって。

「これは絶対夜中にひとりで読んじゃいけないかも」と恐れて
陽が昇ってから読みました笑


佐京光希くん!きみは本当にいいタイミングで来てくれるね涙

春香さん、どれだけ心強かったか…。

「……分かった。僕が家まで送ってくよ」
「大丈夫。僕がついてる」



…。あーー🙈 言われてみたい笑

光希くん、あなた、ご自身の魅力に も少し自……。
いや、今回はお小言なしで。
春香さんを守ってくれてありがとう、光希くん。

前述の2回のアレはこれで免除といたしましょう。🤭



それにしても。

なになになに😱 一体なんだったの? あの“影”は。怖い怖い。

スニーカーの語源、初めて知りました。


と。
以上、リンクを遡っての過去作・【小さな感想のお部屋】でしたm(_ _)m


リンクを貼っていただいたおかげで、たくさんの佐京光希くん・渡瀬春香さんに出会えました。
光希くんの、『拳に刻む義』のような姿もあれば、“助けたくてした訳ではない”という誠実さ。
そして
「光希くん。ちょっとそこへお座りなさい。…あぁ、ちょうどいいわね、圭くんも。」
と、佐京さんちの血に物申したくなる、その無自覚に振り撒く魅力。
そして、春香さんのいじらしさの中にある強さ(強くなろうとする姿)。
柔らかな少女の佇まい。
リンクを辿って、ますます魅了されました。

kouさん作品の森に、もっと分け入って行きたくなりました🌳🌲📖🌲🌳





前回の【感想のお部屋】へのコメント、ありがとうございました(^人^)
また、「🍫👑🤐」への温かいコメントとレビューも、とても励みになりました!


夜勤勤務をされているのですね。大変にお疲れ様です。

kouさんの作品の更新がいちばんの楽しみですので、
返信はどうぞご無理のない範囲で、作品のペースを優先にされてください ✨


前回の、「ロボットとは言え、女性の前で少し見栄を張ってしまうのは、やはり健司も男性なのです。」との一文に、少し目から鱗と言いますか。

言い訳はするな、潔く罪を認めろ。
と自分を鼓舞したのに、ナナさんにやっぱり“いいところ”を見せたいんですね。
そんな男性心理までには行き着きませんでした。なるほど。
わたしもまだまだ修行(?)が足りませんな。 
それにしても。

…もう✨健司さーーん。かわいいぞーー🗣️⛰️



夜明けの時間が少しずつ早くなる…。
それはもう、早起きさん(深夜勤務の方)の特権ですよね。

2月の中旬の今時期ですと、東天には春の星座どころか
夏の大三角も見え始めるのではないでしょうか?

もう夜でもない、でもまだ朝になり切らない、そんな時間 ――
東天に見える星座に季節の進みを感じる。

とても素敵な時間ですね。

肩を縮こませる寒い季節も、出口が見えてきていますね。

(こちらを書いている日、わたしの地域は猛吹雪でした笑)


わたしも早起きできた日は(夜更かしが過ぎた日も)空を眺めます。

だんだん白んできて、さっきまで見えていた星たちがだんだん見えなくなっていくさまも

美しくていいなぁ、と思います。
まだ星の光はそこにいるのに、太陽の光で全てが白になっていく。
街もまだ眠っていて、早起きの鳥たちの声だけが聞こえる。

もしかしたら、木々たちの会話も聞こえるのでは?

そんな気持ちにさせてくれる、早暁の静寂。
お仕事帰りだとそんな気分にもならないかもしれませんが、
kouさんの創作のアンテナをたくさん刺激してくれそうな静寂ですね。




あら。花粉症さんなのですか?それは大変(>_<)
わたしも耳鼻科系は強くないので、つらさがわかります。
鼻だけを部分パーツとして取って、水で洗えればいいのに、と思います。
そんな、アンドロイドのナナさんでもしないようなことを願いながら
花粉症の皆様にはどうか“最低限の症状で済みますように”と、
願っています。


自作を創るのも楽しいですが、【感想のお部屋】もとても楽しいです。
が。どんどん長くなっていってしまい、すみません。

これからも、作品を楽しみにしています。
いつも拙い文章をお読みいただき、ありがとうございます。

それでは、また( ´ ▽ ` )ノ






1件のコメント

  • 金時さんへ
     この度は、胸が熱くなるほど瑞々しく、温かな感想を届けてくださり本当にありがとうございます。金時さんの紡いでくださる言葉のひとつひとつが、まるで春の光を透過させた薄紅色のヴェールのように優しく、作者である私自身の心もふんわりと包み込まれるような心地でした。
    「とにかく『うつくしい』の一言に尽きる」
     そのお言葉をいただけただけで、春香という一人の少女の、あどけなくも繊細な「空白の時間」を描いた意味があったのだと、深く報われる思いです。

     金時さんがクリティカルヒットしたと仰ってくださった「尖った鉛筆の先」という描写。まだ花開く前の、固く鋭い蕾。それは、これから未知の世界へ踏み出そうとする春香の、凛とした緊張感や少しの痛みを象徴させたものでした。そこを掬い上げ、彼女の誠実な佇まいまでも感じ取ってくださったことに、驚きと喜びを隠せません。
     卒業したあとも制服を着て塾へ向かう彼女の「生真面目さ」は、彼女にとっての「誠実な冬の終わり方」でもありました。そんな彼女の静かな気品を見抜いてくださり、ありがとうございます。

     心臓の病という背景を持つ彼女にとって、鼓動が速まることは恐怖と隣り合わせの経験でもあったはずです。けれど、佐京光希という存在を前にした時のそれは、命の躍動そのものでした。
     金時さんが左胸に手を当てて読み進めてくださったこと、春香の小さな勇気に寄り添ってくださったこと……その共鳴が、物語に本当の意味での「体温」を吹き込んでくれました。SMSという無機質なはずの文字列が、二人の間を繋ぐ「命の糸」のように機能したのも、読者である金時さんがその行間を愛で満たしてくださったからです。

     春を単なる「喜び」ではなく、「居場所が崩れていくような頼りなさ」として捉える春香の心に触れてくださり、胸が詰まる思いです。
     大人になれば当たり前のように過ぎ去る三月ですが、あの十四、五歳の頃に感じた「断絶」に近い不安。それを「透明な空白」と呼び、共に歩んでくださったことに感謝いたします。
     だからこそ、最後の一文でヴェールが剥がれ、世界が色づく瞬間を、金時さんと一緒に迎えられたことが何より嬉しいです。あの瞬間、春香の中で蕾は確かに爆発し、彼女だけの春が始まったのだと思います。
    「わたしの5,402円を捧げにいきたい」
    これは『全力投球! 努力のオムライス』での賽銭額ですね、覚えていて下さり目頭が熱くなりました。金時さんのその温かな祈りは、きっと春香と光希が通う新しい高校の、同じ教室の窓を叩く春風となって届くはずです。

    また、これ以上ないほどに熱のこもった「感想のお部屋」をありがとうございます!
    新作『路面電車で春を待つ』をきっかけに、過去の作品群という「森」の中まで深く分け入ってくださったこと、作者としてこれほど幸せなことはありません。金時さんが一歩一歩、足跡を記すように読み進めてくださった軌跡が伝わり、胸がいっぱいです。
     特に、「今のわたしに見えた景色をそのまま閉じ込めておきたいから」と、あえて先に新作の感想を書き上げてから過去作へと旅立たれたその感性……。作家の意図や「今この瞬間の読書体験」を何より大切にしてくださる金時さんの姿勢に、深い敬意と感謝を捧げます。

    それでは、金時さんが旅してくださった各作品への「お返し」をさせてください。

    『少女は舞台で輝く』
    ショパンの「雨だれ」をBGMに選んでくださるとは! さっそくYouTubeで聞いてみました。目を閉じて、雨の音に耳を澄ませる姿が浮かぶ音楽ですね。
    どうやって話を組み立てたのか忘れましたが、春香が心臓に病を抱えていること、古武術介護、演劇などが上手く組み合わせができたかと思います。
    光希が女性に対し意識をしない原因として、母、妹というように女性に囲まれて暮らしているから。なのですが、『肉食女子の誘惑は草食男子に届かない』では佐京圭の例もあるので、それだけではないのかもかもですね。
    光希への「無自覚な魅力に自覚を持って」というお小言(笑)、仰る通りですね。彼にとってはただの「誠実さ」であっても、受け取る側には強烈な光になってしまう……そんな彼の危うい魅力の原点を見つけてくださり嬉しいです。

    『絆は離れていても、そこにある』
    「縦の絆」と「横の絆」。春香を支える多層的な愛を感じ取ってくださりありがとうございます。初穂たちの色紙(横)と、光希が示した意思の強さ(縦)が交差する地点で、彼女は手術へ向かう勇気を得ました。
    機会があれば、手術に挑む際のお話とか、手術後の話とか書いてみたいです。

    『ミニシアターで恋をして』
    「うわぁぁぁぁぁ!」という叫び、最高のご褒美です! キスも告白もないけれど、たしかに「全部起きている」。心臓病という「命に直結する痛み」を知る彼女が、それとは全く違う「恋の痛み」に戸惑う構図は、本作の中でも特に書きたかった部分でした。
    光希の下心の無い行動「ごめん、まだ手を握っていたなんて」……本日二回目のお説教、甘んじて彼に受けさせましょう(笑)。

    『二年後の流れ星』
     春香の内に秘めた「激しさ」や「嫉妬」に触れてくださり、ありがとうございます。清廉なだけではない、一人の少女としてのリアルな体温を感じていただけたのなら本望です。
    また私の作品は、伝説や伝承などを用いて、お話に混ぜるのが好きという一面があるので、あのように引用してみました。
    ええ、物語は色々な作り方ができる。本当に面白いですね。

    『忍び寄るスニーカー』
    そして深夜の『スニーカー』! 怖がらせてしまってすみません(笑)。光希の「僕がついている」という言葉に免じて、彼へのお小言を免除してくださる金時さんの優しさに、彼も(そして作者も)救われました。
     2000文字という制約があるので、あれは一体何だったのか? 私もそれを解決できないと思いつつ書いた作品ではあったのですが、『妖神(マガカミ)』という世界観の下、それらしい話ができたと思います。
     怪異の謎を解く為に、光希や春香が活躍するお話を続きで作ってみたいです。

    ●創作のアンテナと、夜明けの静寂
     私の夜勤のことまでお気遣いいただき、痛み入ります。
     仰る通り、冬から春へ向かうこの時期の夜明け前は、本当に特別ですね。東の空に夏の大三角が顔を出し始め、星々が太陽の白に溶けていくあの「境界線」の時間。街が動き出す前の静寂の中で、木々や鳥の声に耳を澄ませる時間は、私の創作活動にとってもかけがえのない「糧」となっています。

     まだ寒暖差の激しい日々が続きますが、金時さんの元へも、この物語のような「やさしい光を纏った春」が訪れますように。
     素敵な感想という名の「春の便り」を、本当にありがとうございました。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する