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【感想のお部屋】『アンドロイドは下ネタの夢を見るか?』 そのナナ(7) 〜 誰かの手間と温度を、たった一口のキャベツに込める 〜


※※ はじめに ※※ (定期)

この小部屋を見つけてくださって、ありがとうございます。
こちらは、わたしがkou様の作品を読ませていただいたときの、感想などを綴っているお部屋です。今回はこちらの作品です。

『アンドロイドは下ネタの夢を見るか?』
https://kakuyomu.jp/works/16818792439688648232

※※ 以下、ネタバレを含みます ※※

(この感想を書いている時点の最新話は
 『第41話 美味しいですか?』です)







⚫︎ 健司さんの空腹生活・苦節8話の末

   「――あああああっ! なんてことでしょう!」
   (第28話より)

『17:30』の文字を見たナナさんが、マスターの夕食の支度をしていないことに気づいて素っ頓狂に叫んだものの、まだリビングしか片付いておらず、キッチンはまだ手づかずの状態なので、料理ができるようには到底思えず。

   「今日はカップ麺にしようか……」
   (第32話より)

の健司さんの一言で、ナナさんの回路はまたナナり始めちゃって。

   ぐぅぅ〜〜〜……。
   (第33話より)

という健司さんのお腹の虫の大合唱が聞こえた第33話から
空腹生活・苦節8話を超えて。
健司さん、やっと、やっとの“食べ物が口にできる”回です。
(まだ、“お食事”とは言えません^^;)



⚫︎ お料理の献立が判明!

第35話にて、健司さん宅の冷蔵庫を確認し、使える食材や調味料を分析していたナナさん。
・玉ねぎ、人参、じゃがいも
・キャベツ使いかけ3/4玉
・豆腐(残り2パック)
・もやし
・豚のこま切れ肉
・砂糖、塩、醤油、こしょう

    全ての情報を統合し、演算を終えたナナの脳内に、一つの完璧なレシピが完成した。
    それは、健司の不器用な想いを一つも無駄にせず、この場のリソースだけで作り出せる、最適な料理。
   (第35話より)

前回の【感想のお部屋】その6では、最新話が第35話だったため、これらの食材を使って、ナナさんが何を作るのか、献立まではわかっていませんでした。

その時点でわたしが予想していた献立は、(とても安直ですが)
「肉どうふ」もしくは「お鍋料理」でした。
第35話で「長期放置でお砂糖が固まっている」という描写があったので、砂糖を使って食材を甘辛く煮るのかなぁ、と考えてました。

そして、第38話でとうとう明らかになった献立は、

   「本日のメニューは、これらの食材を最大限に活用する、『豚バラともやしの豆腐炒め』です」
   (第38話より)

おぉ!そうきましたか!
豚肉がメインでありながらも、豆腐に焼き色をつけて食欲をそそる感じにしていくあたり、さすがナナさんですね!
他には、
・キャベツと人参を追加して栄養価を高めた、即席味噌汁
・千切りキャベツのサラダ(ナナさんお手製・サバイバル和風ドレッシング)

第38話のお料理シーンは、家にあるもので工夫して設置した「おうちキャンプ・キッチン」での、ナナさんの手際の良さが読んでてとても楽しかったです。

事前に調味料を混ぜ合わせて用意しておくのは、中華料理等に手慣れている感じですし、
鍋肌から回し入れる醤油の香ばしさの描写など。
作家さんご自身もお料理をなさるのかもしれませんが、情景がとてもリアルで、香りまで行間から漂ってきそうな、とても引き込まれる描写でした。
ナナさんの高性能な包丁の使い方も「凄腕のパーカッショニスト」と表現されていて、
その性能があれば、指をざっくりすることもないんだろうなぁと羨ましくなりました。
(「魔除けのカルテット」での指の怪我は、実際の経験から、でした)

生の豚肉を切った後の、肉の脂がついた包丁などを綺麗に流水で洗う場面。

   他の食材の二次汚染や食中毒を防ぐための行動を、A.I.C.S.であるナナは面倒と思わない。
   全てはマスターである健司の為の調理作業だ。
   (第38話より)

どこまでも“マスターのため”……。 その献身の姿勢に切なくなります。



⚫︎ 「あーん」に狼狽える健司さん

ナナさんがとても素敵で美しい方だというのは、もちろんあるのでしょうが。
「あーん」に対する健司さんの狼狽ぶりに、とても愛らしさを感じました。

そっかぁ、健司さん(含む男性)は「あーん」がこんなにも戸惑ってしまうんだ…と。

たしかに、42歳男性ともなると、「あーん」の機会は滅多にないですよね。
というか。大人になったら、もう本当にそうそうない!
そうですね。
考えれば、男性に限らず女性にも「あーん」されることはございません。

ふと、思い返してみました。わたしが直近で「あーん」をしてもらったのは、一体いつだったのか。
それは、記憶にあるかないかくらいの、本当に小さい頃かもしれません。
せいぜい幼稚園でしょうか。

熱を出して、すりおろしたりんご、もしくは、大好きだったみかんの缶詰を、母に甘えて口に運んでもらっていたように思います。


だからこそ。
滅多にないことなんだから、「あーん」を受け入れればいいのに、健司さん。
…なんて思いました🤭


「プレマスティケーション」という言葉を初めて知りました。“咀嚼給餌”ですか。
kouさんが書かれていたように、現代では、衛生面や虫歯菌などを子どもへ移さないためにも推奨はされていないのでしょうが、それを禁止したことで乳幼児の健康を逆に損なった、というのはとても興味深いですね。

    外部の人が十分な理解なしに、その地域の育児文化や慣習を一方的に否定し、禁止することには問題があったという事実と歴史がある。
   (第39話より)

宣教師や医師の方たちも「よかれ」と思っての行動だったのでしょうけれど、
国の慣習や土地の風土、そういうものに長い時間をかけて順応してきた歴史があっての、その地域の文化なのですものね。一概に外からの知識が正しいとも限らないのですね。

と。文化的なお話をしてたはずなのに、「給餌」から「フレンチキス」へ話題を持っていくんだ…。ナナさんったら。(🙋‍♀️ わたしも誤用で認識していた日本人の一人でした。)


健司さん、せっかくの強固なファイヤーウォールで「DUK」がナナさんの造語であることを見抜いて跳ね返したのに

   「さあ、マスター。DUKか、箸か。二者択一です。 」
   (第40話より)
   
なんでこの「二択」で迫られて納得しちゃってるんだよぉ、健司さん🤭
…そっか。ナナさんがナナっちゃうと、健司さんは冷静でいられなくなっちゃって
DUKを見抜いた鋭さがどこかに行っちゃうんですね(^_^;)
ナナさんはそれがわかってて、プレマスティケーションの話を斜め上へ発展させていったのかしら。
意外なところで、健司さんのファイヤーウォールの穴が発見されちゃいましたね。



⚫︎ わぁ〜(*´∀`)♪ 🍷🧤

考える間も与えない“二者択一”に、素直に従ってしまった健司さん🤭
DUKは選びませんでしたね笑

   「……わ、分かったよ。箸だ。箸の方がいい!」
   (第40話より)

お箸を選んだ健司さんは、口を「あーん」しながらこんなことを考えます。
「僕のこの“あーん”の姿が、もし、会社の部下たちに見られたら…」と。

過去、ナナさんの服装について、ご近所の井戸端会議の議題や町内会長への対面を心配したり(第10話)、
警察へ連行されて尋問されたり(第11話)。
そんな【健司の最悪の妄想劇場】(第11話より)以来の、健司さんの頭の上のもくもくした映像が浮かんでいました🤭
その健司さんの妄想劇場に出てきた出演者・健司さんの部下さんたちに、存じ上げている方々のお名前が ヽ(´▽`)/


かつて、望まぬとも焼き芋になっちゃった結衣さん(なんて言ったら、絶対に怒られる)と、アウトドア知識に信頼のおける、“人を助ける”が生きる信条な圭さん✨
うわぁ✨ 本当に出て来てくれたんですね😭✨ う、嬉しい…。
おふたりとも、お元気でしたか?😊

結衣さん「仕事を教えたいから新人一人を連れて」と書いてあり、その後の圭さんの紹介に“朴念仁の新人”とあり…。“圭さん一人を連れて”ってことじゃん笑

思惑を悉くへし折られながらも、結衣先輩は朴念仁へのあくなき挑戦を続けていらっしゃる模様…。
結衣さんの数々の挑戦を記録した「対朴念仁攻略ガイド」をPDFにして配布したら、欲しい人はきっとたくさんいると思いますよ。
恵理さん、春香さん、梨花さん。もしかして由貴さんにも…。あ!理沙子さんも!
…中学生が肉食先輩のガイドを参考にしてはいけませんね笑


いいですねぇ、クロスオーバーシステム。 わたし、これ大好きです。
kouさんの作品のキャラクターさんたちが、ここでも繋がってる!と、読んでいてなんだかとても楽しいです💃✨
それぞれのキャラクターさんの台詞や口調を聞いて、そこから人物像が浮かぶようで、こんな感じかな?、あんな雰囲気かな?、と想像して読んでました🧐💭✨
そして、名前のあるキャラクターさんがたくさんいらっしゃるからこその、できる技✨なのですね。

結衣さんと圭さんの他の部下さんたちとは、初めましてなのですが、皆さんそれぞれ濃くて、健司さんの職場もなかなか賑やかそうですね🤭🩹



⚫︎ そして。第41話のタイトル……


「あーん」の辺りから、けっこうナナっていたナナさんですが。
前話、第40話でのクロスオーバーで賑やかになっていた、その次の第41話。



わたしは、kouさんのキャッチコピーの一文に、作者として「どこまで伝え、どこまで伝えないのか」という選び方が、ぎゅっと詰まっているようで好きなのですが、第41話のタイトル「美味しいですか?」にも、その“一文の妙”を感じて心臓を持っていかれました。


この回はとても深くて。

第41話は、言ってしまえば
『ナナさんが差し出しているキャベツを健司さんが食べる』
だけの場面なのに、健司さんの中では人生の幕切れにまで話が及んでいるんですよね。
ここがすごいなと思いました。

なんというのか。第3話からずっと描かれてきた“健司さんの生活の飢え”を、この第41話のタイトルから「聞こえた」と言いますか…。

コンビニのお弁当は、食べ物ではあるけれど、誰かが待っている食事ではない。
手作りドレッシングのキャベツは、食べ物そのものより、誰かが自分のために整えた温度があるというか。
だから健司さんは、ただ美味しいと思ったのではなく、自分に“食事が用意されている側”として見られたことに打たれた、のではないかと感じます。

「食べる」という行為が、単なる栄養補給ではなくて。
“自分が誰かに覚えられている”という確認になること、のように感じました。
いま、この掴んでいる“感じ”がうまく言葉にできないのですが。


それは、“料理が美味しかったからだけ”ではなくて。
自分が“食べる”ことを見てくれる人がいること。
自分が咀嚼することを「嬉しそうに目を細めて喜んでくれる」人がいること。

「美味しいですか?」と聞いてくれる、ナナさんという存在。
自分の咀嚼を待っている誰かがいて、自分の空腹だけでなく心の飢えまで見抜かれた、と
感じた健司さん。

    掃除は、物理的なノイズを取り除き、状態を「ゼロ」に戻す作業だ。
 しかし料理は、素材を組み合わせ、熱を加え、味という「正体不明の生き物」を生み出す、ゼロからプラスを創り上げる行為。
   (第41話より)

掃除はゼロに戻す。料理はプラスを生む。
つまりナナさんは、健司さんのお部屋を片付けているだけではなく、健司さんの人生に「プラス」を生み出した存在として読みました。

この「プラス」が、“たった”キャベツ一口なのに、健司さんには残りの人生の夢にまでつながってしまっています。

   孤独に閉じるはずだった視界の先に、ナナがいてくれる。
   不覚にも、そんな夢のような幕切れを本気で望んでいる自分に気づき、健司は小さく自嘲した。
   (第41話より)

ナナさんによって差し出された、この“キャベツ一口”は、(ナナってるナナさんが仕掛ける)恋や官能の入口である以前に、孤独に乾いていた健司さんの身体へ、誰かの手間と温度が届く場面だったのだと思います。

「美味しいですか?」
その『日常会話』の問いは、味の確認であると同時に、
“今、あなたは、ちゃんと満たされていますか?”という問いでもあったように感じました。

……もう、泣きそうです。
うまく言葉にできませんが、「美味しいですか?」という短い言葉に
それを受けた時の健司さんのいろいろな思いを想像して、胸がぎゅっとなりました…。



⚫︎ ノイズと砦

こんな感動的なのに。
ナナさんは最後まで「給餌」という笑
給餌と言えば給餌なのかもしれないけれど、どうも“えさ”感が拭えませんよね。

甘える「あーん」は許されても、砦の「あーん」は受け入れちゃいけないぞ、健司さん笑

それと。
第39話でも、そして今回の第41話でも、思い通りのプロトコルが通らなかった時に、ふっと「……チッ」とノイズが漏れるところがありましたよね。

あれ?
かわいいナナさんの中に、今、少しだけ変なノイズが走りましたよ?
と、読んでいて少し胸がちくっとしました。
ナナさんは、健司さんの生活を整えてくれて、美味しいものを差し出してくれて
「美味しいですか?」と尋ねてくれる、とても魅力的な存在です。
だからこそ、あの舌打ちのようなノイズが、ナナさん本来のかわいらしさに混ざってしまうのは、少し悲しくもありました。

これはもう、早めにメカニックの一ノ瀬雫さんに来ていただかなくては。
ナナさんに、そんな粗いノイズが癖になってしまったら困りますもの。

あ。でも、その一音があるからこそ
健司さんが「自分で噛んで、自分で飲み込む」と守ろうとした最後の砦の尊厳が、よりくっきり見えるような配置だったのかな?とも思いました。



⚫︎ おわりに

【感想のお部屋】の始まりは、この『アンドロイドは下ネタの夢を見るか?』の感想を書くことからでした。
前回の“その6”から4ヶ月ほど経っていますが、久しぶりに健司さんとナナさんの【感想のお部屋】が綴れて、原点に還ったみたいで書いていて、とても楽しかったです。
懐かしい方にもお会いできたり、ナナっていたり、心臓を鷲掴みにされたり。

第41話のお話で感じたことを、もっとうまく言葉にできたらよかったのですが、伝わったでしょうか汗
これからもお話の行く末を楽しみにしています。




では、また『感想のお部屋』でお会いいたしましょう👋
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。








kou様へ

🎊👏👏👏✨
まずは、「おめでとうございます✨」 をお伝えさせてください。

『アンドロイドは下ネタの夢を見るか?』第41話で、
【20万文字を超えた】こと。
すごいです!!

20万文字という数字は、kouさんが想像した世界を言葉にしてくださったからこそ、わたしたち読者がその世界に触れられた証であり、

ただ文字が積み重なったというだけではなくて、健司さんの孤独なリビングと心に、ナナさんが少しずつ風を通し、灯りをつけ、音を戻し、(途中何度もナナりながらも)、ようやくいまは食卓の匂いまで届かせた時間そのものなのだと思いました。

最初はゴミに埋もれていたお部屋に、いまは「美味しいですか?」と尋ねる声がある。
その一言は、こんなにも小さくて、でもこんなにも大きな救済になるのだと、第41話を読んでしみじみ感じました。

健司さんとナナさんのリビングに、これからまたどんな音が鳴り、どんな匂いが立ちのぼり、どんな騒動が巻き起こるのか。
これからも、こっそり観客席から楽しみに見守らせていただきます。

ナナさんが健司さんのために作った『豚バラともやしの豆腐炒め』。
投稿されたその日、その食材が家にちょうどあったので、ナナさんみたいにはいきませんでしたが、わたしも作ってみました笑

お腹が空いていたので、豚バラの脂をちゃんとキッチンペーパーで吸い取らずに、そのままお皿に盛ってしまい、脂の海になっちゃってますが(笑)
この日は小どんぶりの味噌ラーメンと一緒に食べるつもりだったので、味付けは塩胡椒で整えました。
キャベツは……なかったので、ナナさんのサラダまでは再現できませんでした(⌒-⌒; )





1件のコメント

  • 金時まめ様へ

     まずは、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。身体が疲れ、眼の疲れと相まってしまっていましたが、仕事の合間に、こちらを拝見しては英気を養わせて頂いていました。
    本当に、ありがございます。

    『アンドロイドは下ネタの夢を見るか?』へのご感想嬉しいです。
    ナナを迎え入れた健司。
    ようやく食事へと入れた流れでした。
    まともなA.I.C.S.だったら、テキパキと話が進んでいたのでしょうが、断るごとに下ネタ方向に話が逸れてしまう。そんな中でも、ようやくナナの料理の腕が振る舞われる回へと行き着けたと思いました。
    材料から料理を予測して頂き、金時さんは、このような料理を考えられるのですね。と思いました。
    私は、とりあえず健司の立場になって、自炊をまともにしたことのない彼だけに、安くて簡単な材料ということで揃えてみました。後は、検索してできそうな料理ということで、『豚バラともやしの豆腐炒め』となりました。
    おうちキャンプ・キッチンのシーンですが、当初から予定していたものではありませんでした。
    キッチンを手っ取り早く片付けて調理をする。
    そういう流れでも良かったのですが、創意工夫でキャンプ的な調理をした方が楽しい。と思うようになる。
    そして、健司が口にしたお互いを補う。「パートナー」という言葉の回収をしてみようと、二人で役割分担をして作業にあたる流れにしてみました。
    健司は料理は、まともにできない。
    でも、ナナが料理をするにあたり、そのサポートをすることはできる。本来は人がA.I.C.S.に指示を出して仕事をしてもらうのだけれど、健司はナナに指示を聞いて実行をする。お互いを補い合う。パートナーというのが、表現できたのではと思いました。
    ナナの調理シーンを褒めて頂き恐縮です。
    掃除の時にみせたように、プロフェッショナルが表現できて良かったです。
    「魔除けのカルテット」での指のケガは、実際の経験からですか。それは痛々しい出来事です。
    ほんの小さなキズでも、痛いものは痛いです。私も指を切るケガをしたことはありますが、早くくっついてよと思います。
    ナナは健司の為には、手間な作業も面倒くさがりません。
    そういう風にマスターに対して従うようプログラムされているからと言えば、そうなのですが、ナナはそれを暴走させて、もう一歩進んでしまうのが問題です。

    「あーん」の行為は、プロットでは予定にありませんでした。
    ですが、書いていて、ナナならこうしそうだと思って、そっちに推し進めてみました。
    生真面目な健司なら、戸惑う。
    そこからの健司とナナの攻防になりました。
    金時さんのおっしゃる通り、大人になったら男性も女性も関係なく、食べさせて貰うことは、まずないですが、そこにある行為には相手からの愛がなければできない行為ですね。私も家族が入院した時は、そういう時もありました。
    書くにあたり、咀嚼給餌を調べると、色々と分かると同時に、歴史についても、こういう背景があったことに勉強になりました。
    宣教師や医師の方たちも「よかれ」と思っての行動だったものが、決して正しい訳では無い。
    こんな生真面目なことから、フレンチキスに至ったのは、調べていたら出てきてしまったからです(^^ゞ

    DUKか、箸か。二者択一です

    これは特に解説を入れなかったのですが、心理学で言うダブルバインド(二重拘束)です。
    恋愛でこれを使用すると、男性が女性をデートに誘う時。
    「今度の休みに、映画に行かない?」
    と誘った場合、女性には、行く・行かないの選択があります。
    「行かない」を選択されると、デートそのものが成り立ちません。
     対してダブルバインドを使用すると、
    「今度の休みに、ホラー映画とアクション映画のどっちに行きたい?」
    と聞く。
    この時点で、「行かない」という選択肢を自然に消し、デートの約束を取り付けやすくします。
    つまり、ナナはこれを用いて、健司の自分で食べるという選択肢を消していたわけです。

     健司の仕事仲間ということで、空想の対応ではあるものの、彼らを知っているということで、虎谷結衣と佐京圭の反応ということで、登場となりました。
     金時さん、覚えて下さっていて嬉しいです。
     結衣の圭に対する気持ちというか、行動を健司は見ていただけに、そのあたりは感づいているし、今でも職場では結衣が必死になって口説こうと四苦八苦していることでしょう。
     「対朴念仁攻略ガイド」に関連して、
    恵理、春香、梨花、由貴に続いて、理沙子まで挙げてくださり恐縮です。
    理沙子は、光希の小学校時代の同級生ですが、負けん気が強いだけに対立していた。中学になってからの登場は、まだ一度だけなので、どこかでまた絡めてあげたいものです。
    『雨の夜に、少女は魔女になる』では、実は恵理が服を選ぶ際に、インフルエンサーとして参考にする人を虎谷結衣にする案がありました。
    人と人とが繋がっていたら面白いなと思って、していることですが、クロスオーバーを楽しんで頂けて、本当に嬉しいです。
    これは!
    と思って楽しんで頂けるのは、金時さんが、私の作品を広くご購読頂いているお陰です。深く御礼申し上げます。ありがとうございますm(_ _)m

     第41話のタイトル「美味しいですか?」についてですが、金時さんが仰る通り、この言葉は単なる味の確認ではありませんでした。
    18年という長い歳月、誰かに自分の空腹を、ひいては自分の存在そのものを「覚えられている」という実感を持てずにいた健司にとって、その問いかけは、彼の凍りついた時間を溶かす「温度」そのものだったのだと思います。
    「掃除はゼロに戻す作業、料理はプラスを生み出す行為」という点についても、見事に汲み取っていただきました。
    ナナは物理的なゴミを取り除くだけでなく、健司の荒廃した人生に「慈しみ」というプラスの要素を注ぎ込みました。たった一口のキャベツが、健司にとって「残りの人生の夢」にまで繋がってしまったという描写に心を寄せていただけたこと、作者として感無量です。
    また、ナナが時折見せる「……チッ」というノイズ(舌打ち)についても、温かく、かつ鋭いご指摘をいただきました。
    本来完璧であるはずのアンドロイドが漏らす、その「不完全な一音」。金時さんが感じてくださった「少しの悲しさ」は、ナナが純粋な機械から、より人間臭い、もしかしたら御しがたい「エゴ」へと歩みを進めている兆しかも。
    メカニックの一ノ瀬雫の登場を待望されるお気持ち、よく分かります。ナナのこのノイズが、バグなのか、それとも彼女なりの「愛」の形なのか、今後の展開でも大切に描いていきたいと考えております。
    「あーん」というコミカルなやり取りの裏側にある、健司の「尊厳の砦」と、それを突き崩そうとするナナの献身。この二人の奇妙で切ない関係性を、これからも温かな目で見守っていただければ幸いです。

    最後に、20万文字という大きな節目をこれほど素敵な言葉でお祝いしていただけたこと、心より感謝申し上げます。
    金時さん仰る通り、この20万文字という積み重ねは、健司とナナが過ごした時間そのものです。最初はただの「無機質なゴミ」に埋もれていた部屋に、少しずつ風が吹き込み、音が戻り、そしてついに「食卓の匂い」が漂い始めた……。その変化を読者様と共に歩んでこれた幸せを、今あらためて噛みしめております。
    「美味しいですか?」という問いかけが、孤独な健司にとっての「救済」であるという解釈に、作者として深く胸を打たれました。誰かが自分のために手間をかけ、温かいものを用意し、その反応を待っている。その日常こそが、健司が最も欲していた「プラス」の瞬間だったのかもしれません。

    そして何より……お写真に驚き、そして大感激いたしました!
    まさかナナの作った「豚バラともやしの豆腐炒め」を、実際にご自宅で再現していただけるなんて!
    お写真を拝見しましたが、具材のバランスが絶妙で、とても美味しそうです。
    「脂の海になっちゃった」と仰っていますが、いえいえ、この豚バラの脂の輝きこそが、健司が鼻腔をくすぐられた「暴力的なまでの食欲」をそそるリアルな質感そのものですよ。塩胡椒で整えられた味付けに、味噌ラーメンとの組み合わせ……まさに「最高のスタミナ飯」という感じで、見ているだけでこちらまでお腹が空いてきてしまいました。
    キャベツのサラダがなくても、金時さんの手によって物語の味が現実のものとなったことが、私にとっては何よりの喜びです。ナナもきっと、「マスター以外にも私のレシピが再現されるとは、計算外の幸福です」と、ポニーテールを揺らしながら喜んでいるに違いありません。
    観客席から見守っていただけることが、執筆の何よりの支えです。
    これからリビングに立ちのぼる新しい匂いや、ナナが巻き起こす(であろう)次なる騒動も、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
    心躍るお便りと、美味しそうなお写真を本当にありがとうございました!
    また「感想のお部屋」でお会いできるのを楽しみにしております。
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