※※ はじめに ※※
この小部屋を見つけてくださって、ありがとうございます。
こちらは、わたしがkou様の作品を読ませていただいたときの、感想などを綴っているお部屋です。
今回はこちらの作品です。
『雨の夜に、少女は魔女になる』 kou 様
https://kakuyomu.jp/works/2912051599483890296※※ 以下、ネタバレを含みます ※※
『雨の夜に、少女は魔女になる』は、すでに完結しておりますが
今回の【感想のお部屋】は、“初読の印象を書き留めた”「初読メモ」をもとにしながら綴っております。
今回の投稿は第2回目です。
わたしとしては、その時の“読み”に今読み返すと照れてしまうところもあるのですが、それも“初読みの妙”と広い心で受け止めていただけると嬉しいです。
様々、お見苦しい点をご容赦の上、読んでいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
◾️ 第3話 湖面のように静かな瞳
光希くんの湖面のように静かな瞳は、恵理さんを、欲を含んだ視線の痛みから救ってくれた。けれど、救われたその場所で、恵理さんは今度こそ彼に自分を「ただの景色」ではなく、ひとりの女の子として見つめられたいと願い始める。そんな第3話。
⚫︎ 初読メモ 5月13日 記 (第3話 湖面のように静かな瞳)
「沼」にはまった回想から戻り、場面は現在の、ひとつの傘の中へ。
第2話での、いろいろなプレッシャーを脱ぎ捨てることができた、その感謝を光希くんに伝える恵理さんだけど。
光希くんはいたって、無自覚な“通常運転”です。
恵理の魂を救い、彼女の心に巣食っていた「焦り」を消し去った。
けれど、光希はそのことを特別視することもなく、まるで朝起きて顔を洗うのと同じくらいに自然なことのように捉えているらしい。
(第3話より)
消しゴムを貸すように傘を貸そうとし、朝起きて顔を洗うのが当たり前のように、“倉本恵理さんの魂を救ってしまう”。光希くんの無自覚、ここに極まれり! ですね。
いや、まだ第3話。…何話まであるのかわからないけれど、光希くんの無自覚はきっとまだある。絶対に来る。まだ極まっていない。
第3話は、恵理さんの内面の独白。
恵理さんが受けてきた「刺さる視線」の描写が、なかなかにつらかったです。
運動競技での盗撮防止についても、たびたび問題として耳にしますし、“女性”というだけでそういう目に晒されることのつらさを描いてくれています。ましてや純粋で多感な時期の、中学生の恵理さんですもの。
それは見えない指先で全身を撫で回されるような不快感を伴い、恵理の肌に粟(あわ)を生じさせた。
(第3話より)
ふるふるふる…((((>_<))))
作者様、どうしてここまで皮膚感覚として書けてしまうのですか……。
その、拭えない気持ち悪さの筆致がすごいです…。
そして、それに耐えることでしか、やり過ごせない恵理さんの現状が大変に切ないです。
………。
そだ!いいことを思いつきました!!( ´ ▽ ` )ノ
まず。
健司さんにご紹介いただいて、サイバー・サルベージへ行きましょう。そうしましょう。
そして、そういう不快な視線を検知したら即座に警告してくれる、屈強な護衛型アンドロイドを探してきます。
(希望としては、『キルラキル』の“蟇郡(がまごおり)先輩”のような…)
一ノ瀬雫さんなら「そういうことなら、あたしが最高のチューニングにしてやんよ」と腕まくりしてくれそうです。
……と、物騒な妄想をしたくなるくらい、恵理さんの置かれている状況がつらかったです。
刺さった場所が、ジリジリと熱を持ち、そこだけが自分の肉体ではないような違和感に支配される。だからこそ、恵理は無意識のうちに心を鋼の鎧で包み、誰も寄せ付けない高嶺の花という完璧な仮面を被るようになった。
(第3話より)
本当にね、そうやって無言のうちに、人を追い込むことって、あるんですよね。
女性へ向けられる目だけに限らず、印象や役割や立場や、“こうあるべき”という固定される目。
そういうものにがんじがらめになる時もある。
する側にもされる側にもなりたくない。「見える姿」だけが“その人”ではない。
自分自身にも、肝に銘じておきたいと思いました。
なかなか、つらめな描写が続く中。だからこそ“痛くない佐京くんの目”に惹かれ「砂漠で見つけた唯一のオアシス」のように感じるのは当たり前ですよ。
うんうん、恵理さん。そんな中で静かに戦ってきたのよね…。
と、恵理さんの背中を優しくさするように、寄り添うように、心の中で応援をしていたら。
彼が恵理を性的な目で見ていないことは分かっていた。
(第3話より)
あ、れ…。うん、それが恵理さんの望みのはず…。
いや、そもそも女として見ていないのか?
(第3話より)
あれ? ん??
彼が自分を汚さないことは、何よりも尊く、恵理の心を救ってくれた。
けれど、彼の中に一滴の「欲」もないのだとしたら、二人の距離はどうやって縮まればいいのだろう。
(第3話より)
んん?
中学生の恵理さんの、純粋な恋ごころ……。
く、雲行きが、あれ?
自分を一人の女の子として、狂おしいほどに意識して欲しい。彼のその透き通った理性を、自分という毒でほんの少しだけ濁らせてみたい。
(第3話より)
「狂おしいほどに」??
に、「濁らせてみたい」????? …ですと?
おぉぉ。
……。恵理さんは“男子が嫌い”な訳ではなく。
“自分を大切にしない「刺さる視線」”が嫌だったのであって、恵理さんが惹かれている、静かな目を持つ光希くんには「男の子としての視線」で見てほしい、と。
うううーーむ。 恋する女の子は複雑ですねぇ。
はっ!
こ、これはいよいよ「魔女」の始まり、なのでしょうか!
恵理さん、暗黒面に行ったら戻れないのよ?
わかっているの?
明日のタイトルがもう積極的だ。
『本日の魔女さんな一文』
恵理は、自分が作り出した清楚な少女という完璧な檻の中で、身動きの取れない自分に気づき、雨音に紛れて深く、深く溜息をついた。
彼を振り向かせるためには、清楚な少女でいるだけでは足りないのだ。
“彼を振り向かせるためには、清楚な少女でいるだけでは足りない”
第4話へ続く。
◾️ 第4話 手を重ねたくなる衝動
光希くんの無欲さに寂しさを覚える恵理さんは、それでも彼だけが自分の努力や弱さを見てくれていたことに胸を打たれる。救われた喜びと、女の子として意識されたい願いが重なり、彼の手に触れたい衝動が高まっていく。そんな第4話。
⚫︎初読メモ 5月14日 記 (第4話 手を重ねたくなる衝動)
中学生男子の諸君へ告ぐ。
学校へ漫画雑誌なんぞ、持ってきていいわけなかろう!
先生に没収されるぞ!
(吾、嘗て中学の時、此を経験せり。
学年末に至り、担任より返却せられたり。)
ま、ましてや水着姿のアイドルの写真で盛り上がってるとは。
あーあ、女子から冷たい目線を向けられるの、決まってるじゃないの。
そんな同じ男子中学生である光希くんの、他の男子の「みんな」と圧倒的な違いと「異性への無関心」が描かれます。
光希くんの視線が、背景の珍しいこけしへ行くところも
“目立つものより、奥にあるものを見つめる”彼らしさが表現されているように感じました。
彼の瞳はいつだって澄んでいて、透き通っている。そこには、女性を「落としたい」「手に入れたい」という濁った熱量は一滴も混じっていない。
(第4話より)
「公平」「無私」の光希くんの眼差し。
彼を振り向かせたい、という自分の気持ちに気づいた恵理さんにとっては、何で勝負していいのかわからない……。
その隣にいるだけで、呼吸が苦しくなるほど愛おしい彼。恵理は、雨が作り出したこの奇跡のような空間を、一秒でも長く繋ぎ止めておきたかった。
(第4話より)
キューーンって、子犬の甘える声のような、そんな心の声が聞こえました。
同じ傘の中にいるというこの時間を、“勝てない”と感じる。そんな彼と、なんとか何かきっかけがないものだろうか…。
“魔女”“蠢く”など、不穏な言葉が端々に見え隠れしつつも、「一緒にいたい」という一言が口にできずに俯く恵理さん。
魔女さんとは、怖い存在なのではなく、かわいい存在になっていくのかな。
「子供っぽい」と自分を評価している恵理さんに対し、光希くんは「みんな知らないだけじゃないかな」という。
それは、「君は違うよ。」と強く持ち上げるのではなく
「みんながまだ見つけていないだけ」と言ってくれているのですよね。
……。
佐京光希くん。 あなたって子は……。
と頭を抱えたくなる回でした。
ね、ちょっと考えてみて。恵理さんからしたら、だよ?
自分が好意を持っている人から
“心の特別な場所に住み着いて”いる人から。
「みんなが見ているのは、結果を出して笑っている時の倉本さんだ。でも、僕は誰もいないグラウンドで最後まで残って練習してる姿や、転んだ友達に真っ先に駆け寄る時の君を見てる。それって、誰にでもできることじゃないよ。本当の大人にしかできない、静かな強さだと思う」
(第4話より)
こんなこと言われたら、さ。
これは、卒倒しますよ。
恵理は絶句した。
呼吸をするのも忘れるほど、その言葉は彼女の心の最も深い部分に届いていた。
(第4話より)
そりゃそうよ。特別な場所がもっともっと特別になっちゃって
Super-Ultra-Final-Miracle-Special-Hyper-Great-“Tokubetsu”の最上級に上り詰めちゃいますって。
けれど、クラスの隅にいるこの少年だけは、彼女がひた隠しにしていた「努力」や「弱さ」を、まるでページをめくるように自然に見つけ出してくれていたのだ。
「……佐京くんって、ずるいよ」
(第4話より)
はい🙋♀️ わたしもその意見に大賛成です。
これは“ずるい”です。
ずるいの中でも
Super-Ultra-Final-Miracle-Special-Hyper-Great-“Zurui”です!
なのに
「え? 何か変なこと言ったかな」
(第4話より)
………。
“「え? 何か変なこと言ったかな」”
“「え? 何か変なこと言ったかな」”
……。
………。
そーゆーとこ!!なの!
あぁ、もうだめ。無自覚こわい。
そのあとの
「ねえ、佐京くん。みんなが知らない私のこと、他にも知ってる?」
(第4話より)
の恵理さんの甘え方が、とんでもなくかわいくて。
きっと「この際だ。恥ずかしいけど、勇気出して聞いちゃえ!」と恵理さんはがんばったんだろうなぁ、と思いました。
「え! 見てたの!?」
「あはは、ごめん。たまたま目に入ったんだ」
(第4話より)
あぁ。いわゆる(?)“いやーん。ポカポカ(と痛くない拳)”ですね?
そこ!いちゃいちゃするな笑
こちとら、にやにやが止まらんぞ笑笑
いちゃいちゃ x にやにやの、中学生少年少女の、かわいさ爆発の悶絶回でした。
そして、次の第5話はいよいよキャッチコピー文言ではないですか!
『本日の魔女さんな一文』
だからこそ、誰も知らない恵理の姿を光希に見せたい……そんな欲望が心の奥底で蠢いていた。
“欲望が心の奥底で蠢いていた”
第5話へ続く。
第二楽章は「あはは、ごめん。」と、楽しげな光希くんの声の残響とともに終わりましょう。
では、また『感想のお部屋』〜 その夜ごとの雨音 第三楽章〜でお会いいたしましょう👋
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
kou様へ
すこーしずつ、恵理さんの中に“魔女”の片鱗が見え出す第二楽章で、お話の方向の角度が少し変わる回でした。
それにしても、光希くんの無自覚さは本当に手強いですね。
“「え? 何か変なこと言ったかな」”
この台詞は、彼の透明さと危うさが同時に出ている言葉だと思いました。
本人に悪気がないからこそ、救われた側の心には深く届いてしまう。
その「痛くない視線」は恵理さんを救ったけれど、同時に、彼女の心にとても特別な場所を作ってしまったのだと思います。
初読時は、恵理さんと一緒に「うわーー🌀」と沼に落ちるような気持ちで読んでいました。
けれど読み返すと、その無自覚な優しさは、やっぱり少し怖いほど強いものでもありますね。
先日投稿された『夢の通い路』も、佐京光希くんのお話でしたね。
少年の顔には、単なるモテ相を通り越した、粘りつくようなピンク色の霧——執着の相がべったりと張り付いていたのだ。
(『夢の通い路』より)
背後から突き刺さる無数の視線は、もはや光の粒ではなく、粘り気を持った熱として彼女の肌にまとわりつく。
(『雨の夜に、少女は魔女になる』第3話より)
ちょうど第二楽章を整えていた時に投稿された『夢の通い路』が、今回まとめていた第3話・第4話の部分と、微妙に響き合っているように感じ、不思議な心地でした。
そうすると、初読メモとしてまとめていた当時の驚きやときめきが、少し違う響きを帯びて聞こえてくるようで。
はて。どうしたものか。
と、道端にあったベンチにいったん座って考えたりしていました。
そんな時に読ませていただいた『夢の通い路』。
タイトルが百人一首からの引用だったことを知り、改めて和歌を心に入れてみました。
短い言葉で情景を表現し、“波が寄る”から“夜”へ移り、“夢”へ辿る。
まぁ、本当になんて美しいのでしょうか。
1100年以上前に生きていた人が、その時の気持ちを残してくれていて
1100年以上後のわたしの心の琴線に届いてくる。
時間とは、流れているけれど、今ここにあるものでもあって。
とても不思議な気持ちになりました。
今回の【感想のお部屋】で試みている「初読メモ」という形態。
自分で綴り始めていながらも、初読のわたしと完結後のわたしは、同じ人間だけれど、どこか感じ方が変わっている部分もあって。
そこへの違和感を覚えながら、第二楽章の整えを悩んでいました。
でも、藤原敏行の和歌を読んで思いました。
1100年以上経っても、一人の人間の気持ちがわたしの心に響くのなら。
その時、その瞬間の気持ちも、やっぱり大切なのよね、と。
なんだか腑に落ちました。
今のわたしの読みとは、少し重なり方が違うところもあるかもしれません。
けれど、それもまた、連載を追っていた時間の記録として読んでいただけましたら幸いです。
ご紹介いただいた『恋する猫股』と『ビルの屋上は銀河』も読ませていただきました。
『恋する猫股』では、
恵理さんが“怖いもの”を見ても最後に関係を切らず、「一緒に遊びに行こう」と自分から言える女の子だったことが印象に残りました。
『ビルの屋上は銀河』では、
光希くんが武術を通して、自然の力を受け取っている感覚が、第2話の「自然のサイクル」につながって見えて、光希くんという人の輪郭が少し深く見えた気がします。
「試合に勝って勝負に負けた」深く考えてみたい言葉です。
過去作を辿ることで、今読んでいる物語の足元に、以前から続いていた細い道が見えてくる。
それもまた、連載作品や同じ世界を歩かせていただく楽しさなのだなぁと感じました。
“クロスオーバーシステム”いいですね^_^
第二楽章も、にやにやしたり、うなったり、頭を抱えたりしながら、楽しく綴りました。
素敵な物語を読ませてくださり、ありがとうございます。