そろそろ藤の花も咲き始めているところもあるというのに
わたしの住む地域では、やっと桜の季節がやってきました。
梅よりも桜が先に咲き、紫陽花とコスモスが一緒に咲く。
なんとも不思議な地域なのですが
冬が真っ白に覆われるだけに、百花繚乱の美しい季節の始まりには
いつもわくわくします。
そんな思いを抱いて、公園には多くの方がいらしていましたが
ここ数日の寒さと風の強さもあって、気の早い桜もちらほらありましたが
ほとんどの桜の木はまだ沈黙したまま。
でも。
今年のわたしは、桜の花よりも“とあるもの”が見たくて公園へやってきたのです。
「まだだったね」
残念そうな声を投げかけられる、そんな桜の“ 蕾”たち。
美しく薄紅色に、爛漫と咲き誇る桜もそれはそれは素敵だけれど
寒く長い冬を耐えた、花を咲かせる前の固い蕾たちに拍手を送りたかったから。
尖った鉛筆の先のような固い蕾。
やっと春がきたよ。
長い冬を耐えて、がんばったよね。
もうすぐ
薄いヴェールを纏ったあなた達に会えるのを
楽しみにしているよ。
この固い蕾から、あんなにも美しい花が咲くことの
自然の不思議さに思いを馳せながらも。
また、会いに来るね。
そう小さく声をかけました。
うずくまるように固く閉じた蕾の奥で
まもなく爆ぜる春が、静かに息をしているのですね。
まだ 咲いていないだけ
もうそこには その華やかさは蓄えられている
やさしい光を纏った固くやさしい蕾たち
その“固さ”も美しいと思った、今年の春の一枚です。
