「文学より」を含む小説

第二次世界大戦終戦直後の横須賀で弘が送る日常の一片。 第二回GOAT×monogatary.com文学賞に落選したため公開します。 この賞は応募作品に対するお題がありました。 …

観測されるたびに輪郭が揺らぐ。 触れられた瞬間、私は“形”を選ばされる。 本当は── 透明のまま漂っていたかった。 それでも世界のどこかで、 私を地上へ戻す“静かな気配”があ…

小学校五年生の薫は夏、父に連れられ、田舎町の祖父母の家にやってきた。 初めは風鈴が涼やかに鳴る風通しのいい部屋で読書をしていたが、 遅れてやって来た従弟の少年、翔太により外へ連れ…

　　　　　　　••✼•• 山の中腹に佇む古い風車型の時計台。 止まった針、さびついた歯車――でも夜になると、光と風が不思議な現象を起こす。 夢のようなひととき。 誰にも聞こ…

2025年11月23日に開催された文学フリマ東京41の会場で配布した折本短編です。 当日がお誕生日のフォロワーさんより「ダイアログ」というお題をいただいて作成しました。𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲…

現代の片隅に残り続ける、閉塞的な村。その村に暮らす中学生の少女・佳奈は幼い頃からその歪な空気に違和感を覚えていた。 村の祠には、古くから"アブイ様"と呼ばれる異形の存在が祀られて…

月光の下の虎に心奪われた少年の話

与謝野アキコは、１８７８年の１２月７日に生まれ、そして１９４２年５月２９日に亡くなった。未だに読み続けられている日本の歌人、作家、思想家である。本名は与謝野シヨウ（旧姓は鳳という…

短い、とある道の話。

『サヨナラさん』――それは、“別れ”が人の形をした怪異。 夜更け、ふと「もう終わりにしたい」と願った瞬間、彼女は現れる。 彼女は理由を問わず、ただ静かに“別れ”を執行する。 恋…

『〖祠壊し文学〗参加作品。』

春の朝。 目覚ましの音に起こされ、炊きたてのごはんの匂いに導かれるように始まるいつも通りの一日。 テレビでは近頃続く猟奇殺人事件の報道が流れ、理解できない、したくもない犯人の残酷…

ノベ〇ラでは純文学/文芸ジャンルにいれていたものですが、ここではノンジャンルなのでエッセイ・ノンフィクションに入れました。フィクションも入っているので、小説のつもりです。「私」が…

　「ね、どうしてこんな雨の中で歌っているの？」 　そうやって問われたのは、他に誰もいない橋の上。 　 　ずぶ濡れでギターを持った僕は、さっきまで歌っていた姿勢のまま固まって。 …

霧雨の秋の深夜、タクシーの運転手は二人組の男を乗せる。行き先は墓地だと言う。 ホラーです。

鈴宮柚葉には、誰にも言えない秘密があった。幼い頃に遭った事故のせいで、彼女の頭には人工知能が埋め込まれているのだ。そのことを誰にも打ち明けられず、柚葉はいつも一人、胸の奥で静かな…

大学の帰り道、横断歩道で赤信号が滲んだ──次の瞬間、目を覚ますとそこは蝋燭の灯る石造りの部屋。 　鏡に映るのは、教科書で見たあの顔。 　そう、転生先は──数学者フェルマー。 　…

　「ローマ帝国三世紀の危機」と呼ばれる「軍人皇帝時代」の、巨大な渦巻にも似た激動に巻き込まれるマクシミヌス・トラクス大将軍。彼が持つ武力を背景に、果たして彼はローマ帝国皇帝の座を…

カクヨムの｢詩・童話・その他」で週間ランキング2位(2025/03/28～30)。 「わたしのアイドル」コンテスト週間ランキング2位(2025/03/24～30)。 「わたしの…