山の緑が照り返す夏の光の中で、少年の胸にはまだ言葉にならない影が落ちている。蝉時雨に包まれた裏山、木漏れ日、汗ばむ午後。従弟・翔太の屈託のない笑顔と無邪気な声は、その影を一時的に遠ざける温度を持つ。虫を追い、駆け回る時間は、やがて訪れる変化の前触れのようでもある。夏の終わりの気配とともに、少年の内側にヒグラシの声が静かに降り積もる。
田舎で小学5年生の男の子と女の子が出会い、数日間共に遊ぶ物語です。ストーリーラインとしてはとてもシンプルで読みやすく、さらに描写の一つひとつが細かく、日本の田舎風景が目に浮かぶようでした。私は田舎出身ですが、「田舎あるある」の風景が目に浮かぶようでとても郷愁を感じました。サクッと隙間時間に読める短編小説。とても良い読後感です。
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