「円城塔賞 家族」を含む小説

十二月は、我が家の庭に一本の古い電飾ツリーが立って、ようやく始まる。 近所が早々とLEDで競うなか、私はあえて少し遅らせる。それは静かな抵抗であり、この家だけの「間」の儀式でもあ…

良い子、良い子。 良い子って、何？

砂肝が嫌いな子供が、砂肝を食べる。 それだけです。

大学生講師時代からの教え子、雪弥が夜になっても帰って来ないと母親から電話があった。いつもの公園に雪弥はいた。昔あげたサハラ砂漠の砂が入った小瓶を見つめながら。 ※三題噺作品 砂…

物語は誰も傷つけないと思っていた。 私が機械ばかり描くようになったわけ。

ある冬の日の夜に出会った悠馬と家族の物語。

トラック運転手の日暮（ひぐらし）は、娘が踏みつけた「金色の排泄物」を通じて、世界を揺るがす病原体『キンフルエンザ』を発見する。 感染者のフケや汚物が純金に変わるという、最悪に皮…

【ショートショート8選】 1話5分以内で読めますので すき間時間にぜひお楽しみください。 ーーーーーーーーーーーーーーー 第1章　未知の物質 第2章　機械音痴 第3章　理想の家族…

現代を生きるあなたの心にも、静かに届く“愛と絆”の物語。 あらすじ 現代のすべてにどこか皮肉な目を向けるアマチュアWeb小説家・晃。 彼は最も嫌う舞台──中世ヨーロッパの世界…

幼い僕は、祖母の庭で静かに遊ぶ毎日を過ごしていた。ある日、黄色い幼稚園バスが通りかかり、祖父が手を振るのを見て胸が熱くなる――それが僕の初めての“ヤキモチ”だった。年月が流れても…

結奈は女であることに疑問はないけれど、女らしく振る舞うことに違和感を感じて生きてきた。多様性が謳われる社会で新たに騒がれるようになった大枠にもカテゴライズされない生きづらさ。息苦…

――――――クソが。

「ただいまー」 「もう！　こんな時間までどこで遊んでたのよ晴太（せいた）くん！　どうせまた友達の家でゲームばっかしてたんでしょ！」 「っ！？」 　家に帰るなり開口一番、義妹の結…

同僚の百瀬（ももせ）さんと俺はどちらもバツイチで、しかも自分の子どもが会社で部下になっているという共通点もある。 そんな奇妙な縁のある俺と百瀬さんだが、何と俺の息子の宗助（そうす…

私はスーパーでの買い物を終え、家に戻る。 玄関を開けた先で待ち構えていたのは、いつもの光景だった――　 ※本作品は文芸サークル「千白邑」様の文芸同人誌『午睡Vol.2』（2024…

嫌いな人も、苦手な人も、見えなくできる――そんな便利な機能が当たり前になった世界。 サラリーマンの早田裕作は、人を消すことに後ろめたさを感じながらも、次第に「空白」だらけの日常…

妻を亡くした73歳の佐藤恵一は、夜ごと公園で星を眺めて過ごしていた。ある夜、母の余命を知って泣く7歳のゆりと出会い、星に願いをかける日々が始まる。二人は家族のような絆を育むが、や…

大学院生の「私」と、同じカフェの向かいの席に通う女性・美月は、三年間一度も会話を交わさず、置き忘れられたノートをきっかけに交換日記を始める。互いの日常や想いを文字で交わす中で特別…

　三年前、とある事情で航空機長から解雇された父親を持つ少年、八島幸信（やしまゆきのぶ）は、バーベキューの最中、父親の大切なフライトキャップを譲り受け、一羽のカラスに出会う。バーベ…

苦労しながら育てた我が子は、やがて成人となり、私の目の前でトランペットを吹いてくれた。