「幻想 短編」を含む小説

世界の終わりには、書庫がある。 そこには、語られることのなかった物語が、静かに積み重なっている。 その書庫で、魔女 アメリア はひとり、物語を紡ぎ続けていた。 けれど、彼女の書…

「私は、どこにいるの……？」 　記憶を失った少女が目覚めたのは、無限に広がる書架の迷宮。 　そこには、彼女が選ばなかった人生の可能性が、一冊一冊の本となって並んでいた。 　科学…

秋の散歩道、男は煙のにおいに誘われ、異界の世界に引き込まれる。以上。

ここは浄土のように美しいところだろう、と夫は微笑んだ。 だから、そこの襖は、開けてはならないよ。

彼女の思い出の中でその子は永遠に生き続けているのだろうか？それは幸せを結晶化した幻想的な世界の終わり？誰しも望むはその世界の終わりで始まりを見ようとした彼女は迷い込んだ物語の中で…

これは、この世界に存在しないはずの季節を、求めて生きた二人の物語。 白は空への手紙。失われた季節のかわりに、心だけが降り積もる。 これは、世界に一つしかない桜の木の下で、互いを…

ほら、正面の錆びた鉄の扉にさがっている黒地に銀文字のプレート「蜂のひざ」が読めますか。運がよければこの重いドアはきしみながら開くはずです。

幻想世界は終わりを迎え、全てが荒廃と疲弊に苦しんでいた。 人類と魔族は相反して相いれず、闘争ばかりが付きまとう。 だがしかし、だだひとつ惹きつけられるは、美味しい食事だった!? …

測量士のクドウは、仕事で訪れた田舎の村で “白い羽を持つ美しい女性” を目にする。 その姿はあまりにも幻想的で、思わず見惚れてしまうが、村の老婆から 「羽に魅入られてはならん」 …

日常に飽き飽きしていた高校2年生の真菜は、クラスメイトの間でも、世間でも流行っているとある都市伝説に心を惹かれる。それは「携帯や本などのメディアに向かって“『アイ』の世界に連れて…

工事現場で起こる奇妙なできごと 何もないのに大きな音が鳴れば どこからともなく石が落ちてくる 誰もいない部屋には火が灯り 哀れな死には笑い声が轟く これらはいったい誰のせい？ …

人も獣も草木も、すべてが寝入ってしまったような、山間の静かな小さい集落で、十六の冬、イチカは初めて冬当番を任された。日付が冬至に替わる刻、イチカは神域となる滝へ向かう。

穢れの巫女は、その身体を抱かせることで王に託宣を告げる。 喪失の剣は、無力な娘に復讐の力を与える。 そして光の乙女は、捨て子を拾い集める。 架空の島ホッカルの伝説を集めた、少し…

　世紀末のパリ。グラン・ギニョール劇場の裏手にある古い館。そこで私は、永遠の美を持つ存在と出会った。 　漆黒の薔薇が咲き乱れる密室。琥珀色の瞳を持つ美しい女性、エリス。彼女は私…

　裏社会において、『死神』『影にある穴』と恐れられる組織──幻想の殺し屋がいた。 　その組織に所属する男は仕事をこなしている最中、一人の少年と出会う。 　身寄りも行くあてもない…

Lは貧しい画家だった。 誰にも認められず、飢えと孤独に苛まれながら、それでも絵を描き続けていた。 ある寒い夜、彼は「黄昏の水晶の世界」に迷い込む。 そこには、蛍が舞う田園、穢れ…

「詩は言葉以上の言葉である」と誰かが言っていたんですけど本当にその通りだと思います。 そういうものがつくれていればいいなと思います。 途中から詩じゃなくてエッセイっぽくなってしま…

午後10時。こんな時間に僕は公園を彷徨っている。コンビニで買ったチュウハイを少し飲んだだけで足元がおぼつかなくなって、そしていつの間にか、知らない公園にたどり着いていた…… 「…

久ノ国のある町で、猫が雪道を走っている。名前はゆきみ、彼女の目的はただ一つ。死にかけている主人、立成を助けるため、術師の元へ向かっていた。その術師は死者をも呼び戻すと言われている…

　作家木庭晴恵（こば・はるえ）の家で開かれた新年会の帰り、大手出版社誠正（せいせい）出版社の編集者内村修（うちむら・おさむ）は、新人作家の蟹江登一（かにえ・とういち）を駅のカフェ…