概要
起動のパスワードは、忘れていた犬の名前だった。
二十一世紀半ば、家庭用ロボット開発の熱狂が世界を席巻していた時代。神奈川の路地裏にある古びた工房で、元研究員・白井元はたった二人の助手と、名もなき「何か」を作り続けていた。
資金は底をつき、補助金は却下され、深夜の工房に残るのは冷めたコーヒーと積み重なったエラーログだけ。十七回目の起動試行が失敗に終わったその夜、白井はふと、幼い頃に飼っていた白い犬のことを思い出す。
ただの疲労。ただの偶然。
それでも彼は、思わず呟いた。
「……シロ」
これは、数百年先まで続くシリーズの——最初の、0.3秒の話。
資金は底をつき、補助金は却下され、深夜の工房に残るのは冷めたコーヒーと積み重なったエラーログだけ。十七回目の起動試行が失敗に終わったその夜、白井はふと、幼い頃に飼っていた白い犬のことを思い出す。
ただの疲労。ただの偶然。
それでも彼は、思わず呟いた。
「……シロ」
これは、数百年先まで続くシリーズの——最初の、0.3秒の話。
五感を揺さぶるような描写を大切に執筆しています。作品を通じて、皆様と何かを共有できれば幸いです。
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