隕石災害から100年、電波の奪われた世界で大衆食堂を営むバン。
そして突如、現れた「バンカイオー」によって、彼の日常が一変していきます。
そんなインパクト大の導入から幕を開ける本作は、重厚で緻密な世界観がベースにあると思います。
また強烈なギャップによるユーモアにはパンチ力があり、何度もクスッとさせられました。
さらに魅力的なヒロインのさやかの登場で物語がパワフルになり、視点が入れ替わる構造とテンポも良さで、物語の世界観に没頭する感覚がありました。
読み進めると、「赤の女王」をはじめとする刺客が登場し、緊張感あふれるサスペンスが広がるなど、様々な読書の楽しみを味わうことができます。
次に何が飛び出すかわからない、至極のSFバトルアクションの世界をお楽しみください。
スーパーロボットもののお約束な展開……と思いきやちょっと違う戦闘シーンに熱くなります。
私はまずタイトルで掴まれました。
昔懐かしのサイキックな斬をするスーパーロボットが頭をよぎりました。
所々で掲載されているイラストも、昭和感があってとても良いです。
カクヨムにはリアル系の作品が多いように思っていました(私が見つけてないだけかもですが)がこういうスーパーなノリは大好物です。
文章量も読みやすい量なので、手軽に読むことができます。
ロボットが好きな人ならはまれるはずです。
スーパーロボット大戦をやったことある人なら尚更です。
かく言う私はスーパーもリアルも両方、大好きです!!
隕石が三つ落ちて、世界はボロボロ。おまけに「電波大停電」で、ネットも通信も永遠にサヨナラ。――と、ここまでは重厚なポストアポカリプスなのに、主人公は下町の食堂で汗だくになりながら、古い扇風機一台で暑さと戦っている。この落差がたまらない。
そして仕事の真っ最中、空から降ってくるのは全長四十メートルの鋼鉄の巨人。顔はギリシャ彫刻ばりのイケメン、頭にはやたらと大げさな王冠。思わず「いや、なんで!?」とツッコみたくなる登場に、一気に引き込まれました。
重たい世界観と、汗まみれの日常。その振れ幅こそが、この作品の一番の魅力だと思います。
「のんびりした話かな?」と油断した頃に、伝説の“笑う風”を探す緋色の貴婦人をはじめ、クセの強いキャラクターたちが次々と現れて、盤面を一気にひっくり返してくる。
終末なのに、なぜか笑える。続きが気になって仕方ない一作です。
未来なのに文明崩壊で昔に戻った懐かしさを感じる時代設定、登場人物がいきいきと描かれる描写・・・そして熱いバトル!
朴念仁の主人公とポンコツヒロイン、でもそれだけじゃなくてそれぞれ悩んだりそれを乗り越えたりの成長もあります。
動かすこと自体にに苦戦して、スーパーロボット自体の謎がなかなか解けないまま、できることで現状を打破する、実際に何も教えられていないロボットにいきなり載せられたら苦労するんだろうなという現実味が戦闘の緊迫感にも繋がっていますね。
子どもの頃に感じた憧れと、大人になったからこそ楽しめる世界観、それが懐かしさと熱さに繋がっているのかなと思える物語です。
この作品はあらすじで述べられている通り、「人間が巨大ロボットに搭乗して敵と戦う」という作風が確立されたロボットもの――俗に言う"スーパー系"の名作たちを意識した作品です。
所謂"リアル系"とはまた異なる世界観、困っている人を放って置けない正義感に篤い主人公、優しさと気の強さを併せ持つヒロイン、作中時代では完全再現困難な技術が使われた巨大ロボット、それに頼らなければ倒せない巨大な敵――。
本作を構成する諸要素の数々からは「どこかで見た気がする」という印象と同時に、「スーパー系ってこういう雰囲気だったな」という一種のノスタルジーを感じることができました。
もちろん、本作は懐古主義に囚われず現代的なエッセンスも取り入れられています。
自身の過去について欠落している部分がある主人公がいきなりロボットを操縦できたのは、ライトノベル的な"無自覚チート"に近いかもしれません。
また、主人公とヒロインの遣り取りや作者様が想定されているキャラクター造形は現代的だなという印象を受けました。
以上の点や一話当たりの文字数を意図的に抑えた構成を踏まえると、多忙な現代人ユーザーでも手に取りやすい作品かなと思います。
このレビューを書いている私は本作とは対照的な"リアル系"と呼ばれるロボットものを書いているのですが、本作を読ませて頂いたことで興味深い点や参考にしたいと思った部分は数多くありました。
「ロボットものって設定や用語が難しそう」という理由で避けられがちですが、本作は作品内外で作者様自身によるフォローが行われているため、比較的スッと入れるのではないかなと思われます。
創作界隈では希少種となりつつある、なろう系のテンプレや流行の要素をあえて取り入れないオールドスクールなロボットもの。
このジャンルが元々好きor興味があるという方はもちろん、これまで触れたことが無い方にこそぜひ一度挑戦して頂きたい作品です。
王冠! 真紅のマント! 40メートル級の巨大ロボット!
もうこの時点で、脳内では主題歌が流れています。
これでもかというほど王道のスーパーロボットものですが、意外に(と言ったら失礼かもですが)世界設定や伏線などかなりしっかりしています。
三つの隕石と「メテオ粒子」によって電波が使えなくなり、文明そのものが大きく形を変えた世界。
この設定が単なる舞台装置ではなく、社会や暮らしにまで落とし込まれていて、SFとしてもしっかり面白いです。
さらに、
バンは何者なのか。
失われた記憶には何があるのか。
健太郎は何を知っているのか。
そして、バンカイオーとは何なのか。
序盤から謎が散りばめられていて、先が気になる。
熱い場面ではカットインが入り、
バンカイオーが立てば、頭の中ではもう完全にロボットアニメ。
王道スーパーロボットの熱さと、ポストアポカリプスSFの世界観。
懐かしいのに、懐かしいだけでは終わらない作品です。