とても皮肉が効いていて、読み終わったあとに「やられた」と

とても皮肉が効いていて、読み終わったあとに「やられた」と感じるタイプの短編でした。
まず前半の140字小説そのものが、幻想的で美しく、「よくある“雰囲気小説”として十分成立している」点が巧みです。そのうえで主人公・大羽が“タイパ重視・量産・雰囲気重視”という価値観を内面化しており、創作への愛よりも承認欲求と効率を優先している人物として描かれているのが現代的でリアルでした。
特に印象的なのは、

批判コメントを即「悪意」と決めつけて削除する
フォロワーも実は相互フォローの打算で集めている
少しの違和感で一気に他人を見下し、切り捨てる

という流れで、大羽自身が「浅さ」を体現してしまっている構造です。短編小説の形式を借りながら、「創作者のプライドの脆さ」や「SNS的評価経済」を風刺しているのが鋭いと感じました。
そして最大の見せ場がラストのレビューですね。
「手抜き」という言葉が
侮辱・皮肉・そして最大級の称賛
へと反転する構成はとても気持ちよく、読者にカタルシスを与えます。同時に、大羽がその真意を知る前にすべてを壊してしまったという後味の悪さも残り、物語として綺麗すぎないのが良いです。

その他のおすすめレビュー

スター☆にゅう・いっちさんの他のおすすめレビュー430