とても印象的で、寓話性と残酷さ、そして皮肉が強く残る作品
- ★★★ Excellent!!!
とても印象的で、寓話性と残酷さ、そして皮肉が強く残る作品だと感じました。
「魔女の星 → 薔薇の星 → 砂の星 → 人間の星」という転生の構造が美しく、同時に残酷です。どの世界に行っても主人公は“異物”であり続け、形を変えても本質的には決して受け入れられない。その循環が、運命の呪いのように描かれていて胸に重く残りました。
特に印象的なのは、「人間狩り」と「魔女狩り」を鏡写しのように配置している点です。魔女の世界では“人間っぽい”という理由で処刑され、人間の世界では“魔女っぽい”という理由で処刑される。この対称性が、人間(あるいは社会一般)の排他性や、少数派を見つけては焼き尽くす残酷さを強烈に浮き彫りにしています。「人間の愚かさではなく慧眼だったのかもしれない」という独白も、単なる被害者の嘆きではなく、加害者側の不気味な正しさを示していてゾッとしました。
薔薇の星のエピソードも象徴的で、「青い薔薇」という存在が、魅力を持ちながらも疎外され、嫉妬され、無視されていく過程は、芸能界やSNS社会、あるいは学校や職場の空気にも重なります。虫が集まるほどの“特別さ”が、祝福ではなく迫害の理由になるという描写がとても鋭いです。
砂の星の描写は一転して静謐で、美しく、哲学的でした。孤独も苦痛もない代わりに、承認も意味もない存在としての砂。「悠々自適だがニヒリズムのかたまり」という表現は、この物語全体の核心の一つだと思います。居場所を求め続けた主人公が、安らぎと引き換えに“自分であること”を失いかける場面として、とても切なかったです。
そして人間の星に戻り、同じ運命をなぞる展開は、救いのなさと同時に強烈なテーマ性を感じさせます。世界を変えても、姿を変えても、「異質なものを焼く構造」そのものは変わらない。その無限ループが、読後に深い虚しさと考えさせられる余韻を残しました。
全体として、
少数派であることの孤独
才能や特異性が祝福ではなく迫害に変わる恐怖
社会が持つ正義の顔をした暴力
承認欲求と無意味さの間で揺れる存在の苦しさ
これらが、ファンタジーの形を借りて非常に鋭く描かれている作品だと思います。
美しくて残酷で、どこか童話のようなのに、内容はきわめて現代的で現実的でした。読後、しばらく「居場所とは何か」「受け入れられるとはどういうことか」を考えさせられる、強い余韻を残す物語です。