言葉の呪い

結弦が楓に遺した言葉は、一種の呪いだと思います。
そしてお互いに依存している。
どうか死なないでという言葉は、死にたい者からしたら怒りといいますか、束縛に近いものに受け取られるものだと私は思っていて、楓が「ふざけんな」というのも納得です。
でも楓はそのロープを使わなかった。似た者同士の結弦が一日この世界にいた記憶が消える、ある意味自分の存在を自分で消すことになると感じたのかなと思ってしまいました。
周りにいた藍原が終わりを選び、一人でいた楓が現実に引き戻される。
何という皮肉でしょうか。
死にゆく人が今を生きる悩んでいる人に希望を与える物語は沢山知っています。私も嫌いではありません。読後感がいいからです。
でも私は、このようなずっと主人公の心の底に澱を残すような話のほうが何故か惹かれてしまいます。
人の不幸は蜜の味だからなのか、こうはならないと反面教師にしているのか、理由は自分でも今のところ理解できていません。
このレビューも、解釈が甘かったりすると思います。そうだったら申し訳ないです。
最後まで決して救われない、ただ自分を求められて心悩ます主人公の行く先を見てみたいと思う話でした。