概要
温かさゆえに溶けてしまう儚いもの
猛吹雪の夜、バーには客が一人と、麗しのバーデンが一人。 注文されたのは、湯気の立つホットバタードラム。 客は甘いカクテルを飲みながら、とある「昔語り」を始める。溶けてしまった悲しい愛を語るとき、 グラスの中のバターが溶けるとき、二人の凍てついた時間もまた、甘く溶けていく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!静かな夜に沁みる、大人のための短編
吹雪の夜、静かなバーで交わされる会話だけで進む短編ですが、読後に残る余韻がとても深い作品です。
台詞や仕草の一つひとつが丁寧に配置されていて、語られない部分から登場人物の過去や感情が立ち上がってきます。
テーマは「善意」と「理解」。
誰かを思う気持ちが、文化や価値観の違いによって、どれほどすれ違ってしまうのかが静かに描かれています。
説明的な文章はほとんどなく、象徴的なモチーフと会話だけで読者に委ねる構成が非常に美しいです。
短編ですが、読み終えたあとにしばらく考えさせられるタイプの作品。
落ち着いた雰囲気の物語や、大人向けの余韻を楽しみたい人にぜひ勧めたい一編です。