学生時代を思い出す作品です。純粋でなくなっていく中学時代。苦くて旨みのない、もっと頑張ってればよかったと後悔する高校時代。この作品はその中でも、特に苦い思い出の強い受験期にスポットを当てています。苦さも苦しさも、悲しさすらも思い出だったと呼べる日がきたら、それは大人になれたというのとなんだな、と。そんなことを思う作品でした。
受験に躓いた冬、何も出てこないガチャが二人を出会わせる。その偶然を、気まずさや苦笑いで描写される距離感が心地いいです。浪人生の不安、焦りといった感情から生まれる会話や沈黙が、少しずつ恋が育っていると感じます。空っぽだったはずのカプセルが、最後にでてくるのも微笑ましいです。
自分が望む感覚が、ほんの少しズレてゆく。そんな青春という時期特有の揺らぎを絶妙に感じさせる。空っぽのカプセル不思議な、ほんの小さな出会い何を頑張ればいいのかわからないクリスマス消し去りたくなる待受……。この作者が芽吹いてゆく。育ってゆく、開花する瞬間を追いたくなる作品。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(127文字)
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