夢とは何か、絆とは何かを考えさせられる、世界観に一切ブレのない大作です。
冒頭の「私、死んだら何になると思う?」という瑞里の問いかけから、この物語の世界観が一気に展開します。人は死後、武器として転生する【干戈】になる――この独特な設定が、双子の切ない絆と絡み合って胸を締め付けます。
八歳の夏、病で痩せ細る瑞里が「孝里の干戈になって、一緒にいたい」と語る場面が痛烈です。餓死する未知の病に侵され、大人になれない自覚がある少女。
「死ぬの全然怖くないんだ」と笑い
「夢なんて笑われるものだし、現実を見た人しか夢を叶えることができないんだよ。笑われるから隠す、現実見たから諦める。そんなの言い訳にしてさ、それって、本気で叶えたい夢?」
と孝里に解くシーンが印象的で、読み手としてメッセージ性を強く感じました。
物語はそこで終わりません。なんと、瑞里は父親が起こした過去最悪規模の地獄顕現災害で死亡。その後太刀となって大勢を斬り、孝里を刺して悪しき存在として『忌蔵』に封印されてしまいます。約束は最悪の形で実現し、孝里は右腕に致命的な後遺症を負います。
そこから十年後、孝里は左目に傷のある男・凰鶴奏士郎との出会います。
彼が孝里を【黎明社】に勧誘する場面が印象的です。「ゲテモノ揃いの黎明社」と呼ばれる組織、そこには「死刑囚」である奏士郎をはじめ、世間から掃き出された者たちが集まっている。「どんな子でも受け入れる」という言葉に、この組織の本質が表れています。
キャラクター的に好きなのは、途中で登場する黎明社の影倚です。軽薄そうなのに実は熱いキャラがいい。
孝里が「瑞里のことも、僕のことよりも大事にしてくれますか」と問い、影倚が「それはできない」「二人のことは同等にしか大事にできない」という答えたところが何よりもよかった。「瑞里のことだけでなく自分も大切にしてくれる」影倚のしんのおもいが伝わったシーンです。というここで孝里が黎明社入学同意書に署名する瞬間、物語が大きく動き出します。そして干戈となり忌蔵に封印されていたはずの瑞里が実は……という、新たな展開へ。
空が赤く染まる【赫蝕現象】、継承箇条の警告、そして瑞里の気配を感じて阿蝉山へ向かう最新話まで読ませていただきました。
胸熱なストーリーになりそうで続きが楽しみです。