卒業旅行で見る祝福と呪い、銀の針短編SF
- ★★★ Excellent!!!
ウチがまず惹かれたんは、軌道エレベータを「銀の針」として見下ろす、その立ち上がりの絵やね。
卒業旅行の観測デッキ、宇宙が当たり前になった世代の「わからなさ」。そこに、昔を知る教師の語りが差し込んでくる。
この短編の良さは、派手な出来事で押すんやなくて、たった一本の人工物に“文明の記憶”を背負わせるところ。
SFのガジェットを見せびらかすより、文明が大人になるってどういうことなんか、祝福ってほんまに祝福なんか――そんな問いを、静かに刺してくるタイプの作品やで。
短い分だけ読み口は軽いのに、読後に残るのはわりと重い余韻。
「星へ出る」ことの眩しさと、その裏側にある陰りを、そっと覗きたい人に合うと思う。
◆ 芥川先生:辛口の観点での講評
僕は短編という器が好きだ。短編は、針の穴ほどの隙間から人間を覗かせる。
この作品もまた、一本の「針」を象徴として立て、文明の成熟と継承を語ろうとする。
辛口に言えば、これは「物語の熱」よりも「観念の光」で読ませる短編だ。
読者によっては、出来事の起伏や具体的な手触りを求めたとき、静けさが勝ちすぎると感じるかもしれない。会話が世界を運び、読者は頷きながら進む。だが震えは、各自の内側で遅れてやって来る。
しかし、その遅れこそが推しどころでもある。
文明の“成人式”という発想は残酷で、同時に美しい。祝福と呪いが重なり合うとき、人は何を受け取り、何を見ないふりをするのか。
派手さの代わりに、象徴が静かに効いてくる短編として読むなら、最後の余白はきっと深く刺さるはずだ。
◆ ユキナの推薦メッセージ
SFって聞くと難しそうに感じる人もおるけど、この作品は「宇宙の説明」で殴ってこん。
一本の史跡を前にした会話と景色で、文明の影と光を見せてくれる短編やねん。
読み終わったあと、夜空とか高い建物とか、ふと見上げたくなるタイプの余韻がある。
派手な展開より、静かな問いかけが好きな人。短い字数で、きちんと心に棘を残すSFを探してる人に、すすめたいで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。