それで、お前は何になった？

夢を追えと言われた。
努力すれば報われると信じた。
選ばれなかったのは、才能が足りなかったからだと——
そうやって、自分を納得させてきた。

これは、
勇者になれなかった者たちの物語だ。
評価されなかった大人。
普通になれなかった男。
まだ何者でもない少女。
そして、人生がもう動かないと思っていた男。

彼らは世界を救わない。
称号も、ランキングも、拍手もない。
あるのは、
帰ってこれないかもしれない長距離運搬と、
地味で、無視されがちな「生活」を守る仕事だけ。

それでも彼らは歩く。
幌馬車に乗らず、自分の足で。
地図の余白へ。

この物語は、
「夢を諦めろ」とも
「まだ間に合う」とも言わない。

ただ、問いかける。

——それで、お前は何になった？

答えを持っていない人のための、
帰路保証なしのファンタジー。