いずれ、彼岸を。更に先を視る日が…。

左の瞳に不可思議な光景が映った。
右眼を閉じると、それは龍が長い尾を引き
雲間を畝り、鯨様の巨大な畸型を、蝋燭の
焔に揺れる御堂に座す白銀の繭玉を、
赤黒く光る大百足を映し出す。
  恰も、百鬼夜行の如く。
瞳の裏にある世界には恐ろしいモノが
祭囃子と共に夜の森を練り歩く。

向こう側からの視線が、ぶつかる。
 手に大弓を持った青年。名は──。


作者の創り出す世界の曼荼羅は、様々な
物語を生み、繋げて、終わらせ、そして
更に延々と空へと延びる狼煙の様に

 百鬼夜行を呼び寄せる。


垣間見た帷の向こうの世界。それは又
いつしか目の前に現れるのだろうか。



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