滅びゆく世界の果てで、凛と輝く「心の記憶」
- ★★★ Excellent!!!
読み終えたあと、深く静かな余韻が胸に広がりました。
残酷な運命に飲み込まれながらも、最期の瞬間まで「大切な誰か」を想い、自分自身の欠片を言葉に託そうとする……。そのあまりにも人間らしい心の揺らぎが、淡々と、けれど鮮烈に描き出されています。
絶望という冷たい影の中に、ふっと差し込む「愛おしい記憶」や「一筋の光」の対比がとても美しく、その儚さがかえって生命の尊さを際立たせているようです。
形は変われど、想いだけは消えずに空へと溶けていくような、切なくも気高い美しさを秘めた物語でした。