平成レトロの熱量で殴ってくる、“希望”と“黒い希望”の兄弟バディ譚

Y2K時代の“肌ざわり”を物語の推進力に変えて、冒頭から一気に引きずり込まれます。

兄・大地の破壊力ある言動は笑いの核で、そこに、弟・ワダツミの冷静なツッコミと内面が、物語をただのコメディで終わらせません。
「今」を生きる兄への憧れと、未来を恐れる弟の揺れが、いつのまにか胸に刺さるのが本作の強みです。
そして“裏棺ヶ丘市”で狩るのは「希望」の結晶。希望が輝くほど、そこに影も生まれる――というテーマが、軽妙な会話の裏でじわじわ効いてきます。さらに不穏な「黒い希望」の登場で、笑っていたはずの読者の心拍が静かに上がっていく。

バトル、ギャグ、少しの色気、そしてヒューマンドラマの余韻まで全部盛り。平成の熱と痛みを知っている人ほど、最後を知りたくなる一作です