小さな幸せが詰まった、雨の日の物語

　この物語を読んでまず心をつかまれたのは、少年とイトコ殿のやりとりの温かさと、世界観の繊細な美しさです。雨宿りというシンプルなシチュエーションの中に、ふたりの絆や信頼、そして親しみやユーモアがたっぷり詰まっていて、読んでいるうちにまるで自分も大樹のウロの中で一緒に雨音を聴いている気分になりました。幼いイトコ殿の素直さと、少年の優しさが描かれるたびに、心がぽかぽかと温まります。

　ファンタジーが好きな人はもちろん、日常の中にあるちょっとした幸せや、誰かと過ごす時間の大切さを再確認したい人にもおすすめです。友情や家族愛、ちょっと背伸びしたい年頃のピュアな気持ちを味わいたい読者にもぴったり。

　短編ながら、豊かな自然描写や、さりげないユーモア、そして愛情がいっぱい詰まった一作です。日々の疲れやモヤモヤをリセットしたい時、ぜひ読んでほしい物語です。