忘れたい過去が暴かれる時――心の防波堤を越えて

 『アイス・ビーチ』を読んで、圭一と神郡のふたりが繰り広げる攻防戦、まさに“心のかくれんぼ”という感じで引き込まれました。圭一は理想の自分を演じるけど、神郡愛菜がその殻をどんどん破壊してくる。しかも彼女、守護者みたいに助けたり、まるでトリックスターのような存在感で、圭一の平和な日常をまるごと塗り替えていくんです。過去と向き合うことの苦しさ、誰にも見せたくない自分と他人の距離感――読んでいて自分の心の奥まで覗かれているような、不思議な感覚になります。

 この作品、トラウマや“なりたい自分”に悩む人、サスペンスやミステリー好きな人、そして「青春のほろ苦さ」を味わいたい人には特におすすめ。大学生や高校生はもちろん、大人になっても心の中で過去と格闘しているすべての人に響く物語です。あなたも圭一や神郡の謎と再生の旅に、ぜひ飛び込んでみて下さいね!

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