死神と友達になったんだ。爽やかな読後感のホラーミステリー

陸斗が抜群の好印象。
死神という立場で屈折した視点からでしか人と接することができない中、主人公を思いやる姿は健気でした。死のルールがたくさん出てきますが「親友同士の秘密を喋ってはいけない」という原始の約束がもっとも感動に繋がったと思います。
そして約束なんて破られてしまったってかまわないんだ。親友だからさ。

直接的に殺すのでなく、フェルミ推定のような感じで統計的に人口を減らしていく死神のしごと。死のルールづくりは小学生のごっこ遊び的な面白さ、残酷さ、手元が狂ってコミュニティを絶滅させてしまいそうな頼りなさに満ちていました。

実際ルールの試行錯誤していくうち連続殺人化してバレそうになるのが緊張感なのだけど、終盤の蝶のルールはもはや致死率がすごそうで陸斗くんに聞かされてる間ぐったりしました。でも昆虫採集って残酷な行為。人と虫の命は違うといっても、他人を虫けらのように感じた瞬間、人は羽をむしるようにして、人の手をむしってしまえる。箱の中の命を意のままにしようとする時、死神と人の境界線が揺らぐんです。

章太や詩帆を横目に、陸斗の主人公への気持ちってどんなだったんだろう。
死神の自分だってぜったい修司と友達になれるんだ、そういうのはあったんじゃないかなぁ。

読後感は切ないというか爽やかでした。
死が友情の終わりではないと思えたから。

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