第6話## 解説。七海の死亡回数に関する補足解説



物語の第4話の時点において、**志乃原七海は複数の異なる「死」の形を、永井の現実世界に「提示」または「実行」しています。**


読者視点から見ると、彼女は現在進行形で**「3回(あるいはそれ以上)」**の死を経験し、それを永井に体験させています。


### 提示された七海の「死」のパターン


1. **第1話の示唆(焼死の自己犠牲):**

永井が通報した際、七海はガソリンを撒き、「全て燃やし尽くしてやる!」と叫んで**自ら火を放ちました**。これは七海の最初の自滅行為であり、永井は彼女が焼死したと信じました。


2. **第2話の警察の報告(転落死1):**

翌朝、警察は「屋上から転落被害者の身元確認」「複数の目撃者が火を放たれるのを確認した」としつつ、**焼死体を確認した**と伝えます。これは「焼死」と「転落死」という矛盾した報告であり、状況が既に混乱していることを示します。その後、エレベーターで現れた七海は「濡れていた」状態でした。


3. **第3話の警察の報告(転落死2):**

永井が屋上へ向かった際、警察は**「今しがた、屋上から転落死体が発見された」**と報告します。これは、昨日とは別の、新たな転落死体(七海)が発見されたことを意味します。彼女は「水に濡れた」状態で発見され、屋上だけが異常に乾いていたという不自然な状況が伴いました。


4. **第4話での現在進行形の現象(リプレイと出火):**

第4話で永井が見せられたのは、**過去の「嘘の約束」のシーンのリプレイ**であり、その直後に現実の自宅が出火します。七海自身は、このシーンでは「水に濡れた姿」として現れており、彼女の死の定義が曖昧になっています。


### まとめ


七海の死は、**一貫性がなく、時間軸を無視して永井の周りで発生し続けている現象**です。


* **物理的な死亡(警察が確認した数):** 最低でも**2回の転落死**(第2話と第3話で報告)、および**1回の焼死(または焼かれる行為)**の報告があり、物理的な死の報告が重複・矛盾しています。

* **作者の意図:** 七海の復讐は、**「単なる一回の死」では終わらない**ことを示しています。彼女は、永井に罪悪感を与えるため、あるいは永井の現実を破壊するために、自分自身の死のイメージを連続的に、異なる形態で投影・実行させていると考えられます。


七海が**「何回死んだか」よりも、「七海が作り出す異常現象のパターン」**に注目すべきであり、彼女自身が「現実の整合性」を破壊する存在そのものになっている、と解釈するのが適切です。

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『『レジストレーション』』 志乃原七海 @09093495732p

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