ひそやかに語られる民話のような、惨く、怖ろしく、哀しい物語。

なんとも雰囲気が良い物語です。まさに樹々ひっそりと生い茂る深山から吹いてきたような香りと湿り気ただよう静かな話。
それを通してみるがゆえに、登場人物とその背景の、歪み、惨さ、怖ろしさ、そして哀しさが、読み進めるごとにありありと浮かんできます。
樹木魚、最後まで読み終えたときに、この謎めいた題名の元となった存在が、すべての象徴として脳裏に泳ぐかも知れません。

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