自分らしさを問いかけるファンタジーの贈り物
- ★★★ Excellent!!!
『鏡写しのサンタクロース』は、現実と幻想が絶妙に溶け合ったダークファンタジーです。なぎさや美沙、穂乃果といった登場人物たちが、それぞれの「家族」や「自分自身」と向き合う姿は、とてもリアルで胸に迫ります。
物語の中心には、「鏡」や「サンタクロース」という日常にも馴染み深いモチーフが据えられていて、そのどちらも、夢や願い、そして本当の自分とは何かを静かに問いかけてきます。都市伝説や怪異に振り回されながらも、自分だけの選択や成長を見つけ出そうとする少女たちの心の葛藤や、痛み、そして時折差し込む温かさが心に残ります。
現代社会ならではの孤独や承認欲求の描写もとてもリアルで、誰かと比べてしまったり、自分を見失いそうになる読者にもきっと響くはず。家族や自分の居場所について悩んだことがある人、ダークな雰囲気や人間ドラマが好きな人におすすめしたい一作です。