『のぞむもの ~尊氏、多々良浜に戦う~』は、敗走から再起へと向かう足利尊氏の “のぞむもの” に焦点を当てて描き出した、人間の弱さと強さが静かに胸を打つ歴史短編です 📜✨
物語は、敗走し、追われ、味方も離れつつある足利尊氏の姿から始まります 🏯🔥
勝者として名を残したはずの尊氏が、ここでは “追い詰められた一人の武将” として描かれているのが印象的で、歴史上の人物を、ちゃんと「迷い、恐れ、決断する人間」として見せてくれるところに、この作品の強さがあります 😌⚔️
勝つために戦うのか、守るために戦うのか、あるいは自分の名のために戦うのか――尊氏の胸中に去来するものが、派手な台詞ではなく、静かな描写と行動で語られていく 🌫️🛡️
短編でありながら、戦の重さ・歴史の転換点としての緊張感・尊氏の個人的な葛藤がきちんと同居していて、“厚み” を感じる作品でした 🌊🕊️
カクコン11(短編)「お題フェス」も、はや三回目。そのお題は歴史物と相性のいい「祝い」。まあ私はリアルに「呪い」と空目してしまいましたが。
一方、『令和版太平記』とも言うべき長編『窯変(ようへん)太平記』で楠木正成の挙兵に至る経緯を連載中の四谷軒氏は、お題フェス第二回「卵」の参加作品『建武の冬』で、建武の新政に反発して挙兵した足利尊氏を破った楠木正成の活躍を描いておられます。
そして今回のお題「祝い」で、どんな題材で来るのかと楽しみにしておりましたところ、前回の続き――九州に逃れた尊氏の再興を描く本作を書かれました。
なぜ尊氏は、政権に反旗を翻した武家の先輩たち――平将門や木曽義仲など――と違って、足利幕府を打ち立てることができたのか? その答えのヒントが、本作で示されています。
来たるべき楠木正成との決戦に向けた尊氏の戦い。巧みに討伐軍(というか新田義貞)を翻弄する赤松円心入道。『太平記』のクライマックスに向けて諸勢力が動き出す時期を描いた本作、他の南北朝シリーズとあわせて、是非お読みください!