幽霊ガチ勢ぼっち女子大生と空手バカが心霊巡りする──青春ホラー
- ★★★ Excellent!!!
大学の昼休み
ぼっち飯に怯える女子大生が
心霊スポットでは誰よりも饒舌になる──
そんなねじれた愛おしさから始まる物語。
幽霊を「本気で見たい」と願う円と
「空手は命を守るためにある」と
黙々と鍛え続ける有明省吾。
廃ラブホテルや明治の旧トンネルといった
どこか見覚えのある景色の中で
〝怖さ〟と〝可笑しさ〟と
〝まっすぐな敬意〟が同時に立ち上がってくる。
特に
省吾のストイックさはギャグのようでいて
幽霊を〝元は自分たちと同じ人間〟として
扱おうとする姿勢に
静かな優しさが滲むのが印象的でした。
円の視線を通して
〝霊〟と〝生きている私たち〟の距離が
すこしずつ縮んでいく感覚が心地よいです。
さらに、陽キャに見える先輩・弥幸の登場で
オカルトへの熱量はそのままに
人間関係が一気に広がり
新たな〝嵐の予感〟も顔を出します。
ホラーとしてのひやりとした空気と
青春ものとしてのささやかなときめき
そのどちらも諦めていない作品。
これから三人がどんな怪異と
そしてどんな感情と出会っていくのか──
続きが素直に楽しみになる物語です!