絶望の先で、人は希望を選び続ける――心に残る本格SF群像劇

本作は、壮大なSFスケールの物語でありながら、最後まで「人の感情」に寄り添い続けてくれる作品だと感じました。

コレオイドという圧倒的な脅威、殺処分という冷酷なタイムリミット、そして戦場で失われていく命……その過酷な状況の中で描かれるのは、力の誇示ではなく、仲間を想う気持ちや、失ってもなお前へ進もうとする意思です。

バトル描写はスピード感と迫力がありつつも決して無機質ではなく、キャラ一人ひとりの役割と覚悟がはっきりと伝わってきます。
特に、仲間同士の信頼関係や会話の積み重ねがあるからこそ、戦闘シーンがより胸に迫るものになっているのが印象的でした。

また、SF設定も非常に緻密で、専門用語やギミックが多いにもかかわらず、物語の流れを阻害せず自然に没入できる構成になっています。

終盤に向かって物語が収束していく展開は圧巻で、絶望と希望が何度も交錯しながら、それでも「諦めない」という選択が積み重なっていく様子に強く心を打たれました。
読後には、激しい戦いを駆け抜けたあとの静かな余韻と、確かな達成感が残ります。

重厚なSFが好きな方はもちろん、仲間との絆や再生の物語に弱い方には、ぜひ手に取ってほしい作品です!
読み進めるほどに、登場人物達のことが忘れられなくなる一作だと思います!