保健体育の授業で、ジェンダーについて学んだクラスの生徒たち。
その放課後、クラスの中で発言力の大きい男子である芹澤がそのことについて話し始める。
「同性が好きなヤツって、実際結構いるんかな?」
芹澤を中心とした数人のグループ内で話は広がり、同性に恋情を向けているヤツは気持ち悪いというような発言までされてしまう。
男性の恋人がいる兄を持つ主人公は、腹立たしく思うも何も言うことができない。
クラスで特異な存在になってしまうのは、とても怖いことだから。
そんな時、ひとりの女子の凜とした透明感のある声が響く。
笑顔が素敵な正義感の強い子、佐倉笑茉。
彼女は静まり返った教室で、告げる。
「私、女の子が好きなんだけど」
多様性とは何か。
その中で、人は人とどう向き合っていけばいいのか。
それらを優しく伝えてくれる、すてきな作品だと思います。
ぜひとも、読んでいただきたい一作です。
心って、深い。
人は人に、利益を与えるか、害を与えるかでしか影響を与えられない。
そう考えればシンプルなのに、それを恋愛と感じたり、友情と感じたり、ネガティブな感情で捉えたりするからややこしくなる。
多様性なんていう言葉があるけれど、同性愛などは昔から存在していたのは、古代ローマのハドリアヌスとアンティノウスが証明してくれているので、
ただ単にLGBTQを区別したいための都合のいい言葉だと個人的には思っている。
主人公のお兄さんは、同性愛者だ。
そしてある日、学校で議題にあがったのも多様性の話である。
多感な思春期にこのような教育をするのもどうなのだろうと個人的には思うのだが、
やんちゃなクラスメイトの、心ない発言によって主人公の心は混乱する。
これは、主人公が他者の性に触れ、
自分なりの答えを出すという物語にございます。
セリフの一つ一つに血が通っていると感じました。
お勧めいたします。
ご一読を。
様々なジェンダーとしての多様性を青春時代のさなかに繊細かつ優しい筆致で描かれた作品です。
多様性に対する理解の乏しい学生たちの会話。実際の現状を訴える問題提起として読者の心に問いかけてきます。そして生徒間での恋愛事情の在り方も多岐にわたり、心の内を明かす月城くんと佐倉さんの純粋さに理解と寛容の温かさを感じます。
この手の作品は受け止め方によっては賛否両論を呼びやすい傾向にあり、創作側にとって手をつけにくいテーマの一つでもあります。しかし作者様は性の多様性としての在り方を真摯に受け止め、私たちに分かりやすくかみ砕いて優しく丁寧に綴ってくださいました。まずはその胆力に敬意を表し、一人でも多くの方に読まれることを願って筆を取らせていただきました。
作者様の意欲作。この物語を通じ、あらためて考える契機としたい。あなたはどのように受け止めますか?
この番外編は、前作の世界観を知っている方にはもちろん、初めて触れる方にも強くおすすめしたい、心に光が差す作品です。
テーマはジェンダー、多様性、そして「自分自身と向き合う勇気」。
重くなりがちな題材を、作者さまは驚くほど丁寧に、優しく、そして自然体に描き出しています。
主人公・柚樹が直面する葛藤は、決して特別なものではありません。
誰だって、周囲の空気が怖くて声を飲み込んだことがあるし、自分の弱さに悔しくなる瞬間があるはず。
この物語は、それを責めるのではなく、寄り添ってくれるんです。
読んだあと「弱くてもいい、でも前に進みたい」と思わせてくれる力があります。
また、登場人物達の距離感と会話の空気がとてもリアルで、青春特有の不器用さと柔らかさがぎゅっと詰まっています。
後半の、心がほぐれていくようなやり取りは必見です。
読後にほっと息が漏れるような、優しい余韻が胸を満たしてくれます。
「ジェンダー」というテーマに構えず、ただ、ひとりの人の揺れる心をのぞく気持ちで読んでみてほしいです。
短いながらも、希望と温かさで満たされる素敵な番外編でした!
思春期にさしかかった少年の揺れ動く心と多様性への理解を繊細に描いた、鳴宮琥珀氏の青春小説です。
物語は、中学の保健体育の授業で「ジェンダー」と「多様な性」について学ぶところから始まります。
その後、教室内で飛び交う無神経な言葉、そして友人の思いも寄らない宣言に、主人公・柚樹は戸惑いや葛藤を覚えます。彼の兄には同性の恋人がいるのです。
仲睦まじい幸せなふたりを柚樹はとても大事に想っています。
兄とその恋人を受け入れている自分も、また……
その意味を、この小説では柚樹と読者に静かに問いかけます。
心にそっと寄り添うようにしてセンシティブなテーマを掬い上げる鳴宮琥珀氏の柔らかな筆致が秀逸です。
読後は、自分も誰かと「何を謳おう」と思えるような優しい気持ちになることでしょう。