最初の一文から、「これは好みのお話だ…」と確信しました。読後すぐの感想としては、もっと長く読んでいたくてたまらないです!欲を言うと、バーコードチルドレンにまつわるお話をオムニバス式で色々読みたいw少子化が進む現代にあって、この世界観には妄想を掻き立てられます。あなたなら、百万円の罰金を支払うか、それとも三十万円で赤ちゃんを買うか。どちらを選びますか?
この世界設定で私も物語を書いてみたくなるほど濃密な世界観。おそらく多くの人が、書かれた文量以上の物語を頭のなかに構築するだろう。これは危険、この物語の種を一旦取り込んだら、あなたの頭の畑は、この未知の植物に完全に制圧されてしまうだろう。引き返すなら今のうちだ。だが合えて云おう、この物語は美味しい、と。
「バーコードチルドレン」という造語ひとつとっても秀逸の極み。『人口計画法』が施行され、25歳以上成人の子ども養育が義務化された世界では、養育者を「守る」カウンターの法律も用意されていた。25歳の誕生日を目前にした主人公は罰金を避けるために、子どもを買いにショッピングセンターに訪れる。生活空間がイメージできるので、ありありと浮かぶそのやりとりの違和感が半端ない。主人公、主人公の彼女、店員のそれぞれが僕たちと地続きだから、やるせなさもひとしおだ。この気持ち、レビューでも書かないと収まらない。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(198文字)
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