痛みと再生が交差する青春アイドル譚✨

とても惹き込まれる導入でした。
一人の少女が抱えてきた喪失と痛みが、丁寧で容赦のない筆致で描かれていて、読んでいて胸を掴まれるような感覚があります。夢に人生を賭けてきたからこそ生まれる空虚さや自己否定が、生々しく、しかし決して安っぽくならずに伝わってきました。

一方で、視点が変わることで物語の空気がやわらぎ、重さの中に確かな光が差し込む構成も印象的です。主人公を取り巻く人物たちの眼差しがとても優しく、誰かが誰かを「理解しようとする」姿勢そのものが、物語の救いになっているように感じました。

アイドルという題材も、単なる華やかさではなく、努力や競争、再起の舞台として描かれており、過去の経験が別の形で活きていく予感に胸が高鳴ります。
この先、彼女たちがどんな選択をし、どんな場所で輝こうとするのか。まだ何も分からないはずなのに、続きを追わずにはいられない作品です。

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