誰も犠牲にしないために――優しさで紡ぐ冒険ファンタジー

 この物語は、“誰かを守る”ことの意味や、人との絆の大切さを静かに問いかけてくれます。聖女レニーのまっすぐな想いと、元勇者アランの心の傷が絡み合い、切なさの中にも温かな希望が見え隠れする展開に心惹かれました。呪いの理不尽さに抗いながら、仲間たちと共に運命を切り開こうとする姿は、どんな困難にも立ち向かう勇気を感じさせてくれます。

 アランの孤独や不器用さも、重くなりすぎず静かに胸に届き、人を想うことの怖さと温かさを同時に感じさせてくれました。仲間たちの距離感や会話も現実味があり、「一緒に戦う」とはどういうことかを考えさせられます。

 甘さだけで終わらない王道ファンタジーなので、恋愛要素が好きな人はもちろん、仲間との絆や心の成長を大切にした物語が好きな人、静かに感情が積み重なる話を読みたい人に特におすすめです。

その他のおすすめレビュー

悠鬼よう子さんの他のおすすめレビュー1,242