家族になる痛みと喜びを、静けさの中に丁寧に描く物語
- ★★★ Excellent!!!
心の奥に降り積もった痛みと
日々の暮らしの中で
そっと芽吹く優しさ。
その両方を
まるで〝手のひらの温度〟で描くように
紡がれていく。
恋人から夫婦へ
そして親へ──
役割が変わるたび
ふたりの距離は揺れながらも深まっていく。
小さな仕草
ふと漏れる言葉
抱きしめた温もり
その一つ一つが
読者の胸に静かに波紋を広げるよう
ときに擦れ違い
ときに踏み出せず
それでも確かに積み重なっていく
〝家族の形〟
日常の光と影を
こんなにも丁寧にすくい上げる筆致は
まるで薄明の中で揺れる灯火のようです。
物語はまだ続いていく──
だからこそ
この先も彼らが紡ぐ時間を見届けたくなる。
静かで、温かく
そして何より〝生きている〟物語です。