家族になる痛みと喜びを、静けさの中に丁寧に描く物語

心の奥に降り積もった痛みと
日々の暮らしの中で
そっと芽吹く優しさ。

その両方を
まるで〝手のひらの温度〟で描くように
紡がれていく。

恋人から夫婦へ
そして親へ──

役割が変わるたび
ふたりの距離は揺れながらも深まっていく。

小さな仕草
ふと漏れる言葉
抱きしめた温もり

その一つ一つが
読者の胸に静かに波紋を広げるよう

ときに擦れ違い
ときに踏み出せず

それでも確かに積み重なっていく
〝家族の形〟

日常の光と影を
こんなにも丁寧にすくい上げる筆致は
まるで薄明の中で揺れる灯火のようです。

物語はまだ続いていく──

だからこそ
この先も彼らが紡ぐ時間を見届けたくなる。

静かで、温かく
そして何より〝生きている〟物語です。

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