高学歴女は生きにくい
於とも
第1話 女が上司より良い学校出てたらダメですか
某職の面接会場にて。男性3人の面接官の前。
「何故、前職を辞められたのですか。」
「結婚相手の住まいからは通えない距離であった為です。」
「そんな遠方の方と恋愛したら、せっかくの職を失くすじゃないですか。そこ、考えなかったのですか?」
「……悩みましたが、結果、結婚しました。そして、ここに居ります。」
「お子さん出来たらどうするんですか。」
「子供は欲しいと思っております。産前産後はお休みせざる負えませんが、出来るだけ早めに職場復帰したいと考えています。」
「その、産後産後の休みをもらおうという考えが、厚かましいんですよ。これだから……。考えが甘いですね。」
「甘いですか。それなら仕方ありません。ご縁が無かったという事ですね。」
「ここに受からなかったら、どこに行っても受からないですよ。この業界は狭いんですよ。あなたのキャリア程度で、新婚なら尚のこと難しいですよ。
それでも今、退出されますか?」
「???……子供は産むつもりでおりますから、産休が取れないなら、難しいかと思います。」
「それを、あなたが決めるのはおかしいでしょう。退出を決めるのはこちら側です、と言ってるんです。分かる?言ってる事。」
その後も、『女が子供作って仕事を続けようなんて、考えなしで、職場がどんなに迷惑するか理解すべきだ』、とかなんとか、3人の面接官から代わる代わる言われ続けた。面接時間は50分もかかっていた。
結婚して、無職になった私は、こんな感じの、似たり寄ったりな屈辱的な面接を、25回受けた。
男女雇用機会均等法なんか糞くらえだと思った。
それでも、縁故採用で小さい会社に就職できたが、すぐに妊娠し、妊娠判明と同時に切迫流産の危険があったので、そのまま安定期に入るまで入院となって、その会社もクビになった。
子供が産まれて、産後の肥立ちが悪かったので、寝たり起きたりのギリギリの毎日だった。
主婦でいたくなかった。自分で稼ぎたかった。
子供にアレルギーがあって、保育園では預かってもらえなかったので、幼稚園に入れてから、介護の資格を取りに行って、介護職のアルバイトを始めた。
子供がアレルギーを持っていた事がきっかけで、アレルギーを勉強するサークルに入り、そこで知り合ったママ達と、友達になった。
皆、同じように遠方からお嫁に来た人がほとんどだった。
(地元出身の人は、実家のサポートも受けられ、既に友人も居る為に、新規のサークルには参加しないようだった。)
『実は医者』『実はハーバード大出てます』『実は京大出てます』『実は○○博士号持ってます』・・・
”能ある鷹は爪を隠す”な方々だった。どの方々も、私と同じような屈辱的な面接を数々経験されていた。
そして、ハーバード大を出ている彼女は
「私、履歴書には高卒で書いてる。大学名書いたら、落とされるから。嘘は書きたくないから、はしょった。」
そう言って、笑った。
すると京大出の彼女も
「あ、分かる~。私も、今度はそうしよう。何かね、上司よりも良い大学出てたらやりにくいらしくて。主に男性上司が。器小さいよね~。」
そう言った。
博士号を持った彼女も
「あ、私も資格蘭には、書いてないよ。仰々しい博士号だから、落とされる。」
皆さん、現在は、それぞれの卒業大学や専攻科目とは違う職場で、最終学歴をはしょって、仕事をしている。
それぞれ、新しい事を見付けて、子供を育てて、社会に貢献している。
賢い女性は、臨機応変、自分の持っている資格や技能をひけらかさないのだと、分かった。
皆の共通認識が
「こちらが言ってる言葉を分かってもらえないのは、相手が理解できるように、こちらが伝えられていないだけ。飲み込める大きさにしてから、伝える。」
『飲み込める大きさ』大事!!
高学歴女は生きにくい 於とも @tom-5
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