一風変わった不変な愛のおはなし
- ★★★ Excellent!!!
このお話は下りゆく屁で
人生の不条理を笑い飛ばし、
愛の力でくだらない日常を肯定する、
壮大なる「屁と愛の物語」だ!
主人公は、自らの持つ「サイレン スー」
という奇妙な能力を巡る苦悩を抱えつつも、
職場のマドンナである翔子との
関係を築いていく。
特に秀逸なのは、
「ステーキ・ハウス人憎ニンニク」
でのデートの描写。
オナラの犯人探しという危険な状況で、
あえてブッパ確定の食事を選ぶという、
その破廉恥かつ大胆な戦略は、
この物語の核心を突いている。
「木は森に隠せ」というように、
ニンニクの匂いを盾に、自らの「正体」を
巧妙に隠蔽しようとする主人公の姿は、
滑稽だけれど、どこか哀愁が漂う。
この作品の結びの言葉......
一応、伏せておこうと思うが、
どんなに下らない特技や、
他者には理解され得ない悩みがあったとして、それを包み込み、受け入れる愛があれば、
もはや臭いも、理屈も、
何の意味も持たなくなる。
屁理屈を愛の言葉へと変える
この作品のユーモアと優しさを象徴している。
......実に感動できる作品だと私は思った。