記憶を売り、お金に換えられる。他人の幸せな思い出を買うこともできる。そんな世界の記憶売買店に、一人の男が訪ねてきます。持ち込まれた記憶を確認するだけだったはずの主人公が、自分自身の記憶まで疑うことになる。その不安に引かれて、全4話を一気に読みました。特に気になったのは、記憶だけでなく、感情や人格にも他人の人生が入り込んでくる怖さです。覚えていることを頼りに自分を説明できなくなったら、何が残るのでしょうか。短い物語ですが、読み終えたあとも「自分を自分にしているものは何か」と考えたくなる、不穏な後味のある作品でした。
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