概要
エディ・コールは、戦場へ向かう船の上でトーマス・“トミー”・ホールと出会った。
妻と七歳の息子を故郷に残し、こんな場所でもくだらない冗談ばかり口にする男。
彼が穿いていたのは、使い古された一本のデニム製ユーティリティパンツだった。
その腿には、彼自身の名前が刻まれていた。
T.HALL 161st INF.
「俺はここにいたって、残したかった」
戦争が終わっても、時間は止まらない。
人は出会い、別れ、歳を取り、やがていなくなる。
けれど、一着の服は残り続ける。
持ち主を変え、海を渡り、傷つきながら、青いデニムは時代の中を流れていく。
誰の手に渡り、何を見届けてきたのか。
そのすべてを知る人は、もうどこにもいない。
それでも、消えないものがある。
これは、一着の服が出会った人々の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!二人の絆と、デニムに刻まれた文字
1943年のガダルカナル島。
過酷な戦場で出会ったエディとトミーは、互いの絆を深めていきます。
戦争という極限状態の中、デニムに刻まれた家族への想いによって、物語は立ち上がります。
無愛想で冷めたところがあるエディと、軽口を叩いて場を和ませるトミーの対照的な性格に惹かれるものを感じました。
日常と戦場の対比も絶妙で、デニムの文字が物語を丁寧に引っ張っていく印象を受けました。
何気ない日常の会話にリアリティがあり、エディの気持ちが変化していく流れも印象的でした。
見えない恐怖と過酷なジャングル戦など、胸に迫る描写も本作の特徴だと思います。
切なくも温かいヒューマンドラマをぜひお楽しみく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間の破壊と再生の営みの目撃者 一本のデニムを活かしたのも人の心でした
一本のデニムが辿る旅を描いた物語。
始まりは砲弾飛び交うジャングルの中。
明日をもしれぬ命を必死に守りながら、友情を育む二人の兵士の足元を守っています。
人間の破壊行為を最前線で目撃することに。
終戦後、そのデニムは家族の元へ、国外へ。人の手を介して新たな地へと旅していきます。
譲り受けた人々は、どんな人がこのデニムを履いていたのかに思いを馳せながら、大切に使っていきます。
ほつれたり破けたりしても、その都度直して。活かし生かしていく姿は、破壊とは真逆の再生の営み。
どちらも人間の姿です。
その対比が、くっきりと、でもとても静かに胸に迫る作品でした。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「一本のデニム」と「そこに残る人の記憶」が気になるあなたへ
戦場で出会ったエディとトミー。
二人が共に過ごした時間と、一本のデニムを巡る物語です。
【一本のデニムに刻まれるもの】
泥にまみれ、洗われ、膝が破れて。
戦場を進むたびに、トミーのデニムにも少しずつ歴史が刻まれていきます。
デニム以外でも、何気ない物に人の思いが残っていく描き方がとても丁寧で、印象に残りました。
【エディとトミー】
軽口を叩くトミーと、それに淡々と返すエディ。
二人のやり取りが好きで、戦場という場所なのに、どこか温かさを感じます。
だからこそ、「帰ったら」と交わされる何気ない約束の一つ一つが心に残りました。
一着のデニムがどんな時間を重ねていくの…続きを読む