概要
先生に聞いた、あの話だけは、ずっと残ってました。
高校時代の師が亡くなったと、仕事を通して知った「私」。個人的な言葉を交わしたこともなかったが、授業中に聞いた「ある話」だけが、妙に記憶に残っていた――。
※【ネタバレあります】
作中に登場する「農夫が突然畑を捨て、山へ向かい二度と戻らなくなる」という話は、作者が学生時代、授業中に教師から聞いた記憶をもとにしています。細部については記憶が曖昧なため、物語上の設定として再構成しています。
※【ネタバレあります】
作中に登場する「農夫が突然畑を捨て、山へ向かい二度と戻らなくなる」という話は、作者が学生時代、授業中に教師から聞いた記憶をもとにしています。細部については記憶が曖昧なため、物語上の設定として再構成しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人生から外れてしまったとき、思い出す言葉
ほとんど言葉を交わしたことのない先生。
けれど、授業中に一度だけ聞いた奇妙な話だけが、長い年月を越えて残っている。
「山へ向かい、そのまま戻らなくなった農夫たち」の話が、歳を重ねるにつれて違う意味を持ち始めるところが印象的でした。
特に好きなのは、主人公が仕事として他人の人生を短い礼状へまとめながら、先生について自分が本当に知っていることはごくわずかだという距離感です。
それでも、たった一度聞いた話が誰かの人生に残り、その人が道を外れたときに少しだけ自分を許す理由になる。
最後の車窓と山まで、静かなのにしっかり余韻の残る短編でした。 - ★★★ Excellent!!!山の彼方に…其処はある。
遠い昔、まだ高校生の頃に。
世界史の授業で聞いた話がいつまでも心の
奥底に残っている。
主人公は葬儀の礼状を作る仕事をして生計を
立てている。それは数々の出会いと別れを
経験して漸く落ち着いた住処だ。
単に、それらしき文章を造るだけではなく
丁寧なヒアリングと、個人や周囲の人々との
関わりを想像する。
それは小説を書く事とも共通するのかも
知れない。勿論、心に響く上質な小説だ。
世界史を教えていた先生の人生と、自らの
人生が交差する。
その唯一の接点。
「その地域では、人が蒸発するんですよ。」
欧州の、と或る地域にある山の話だ。
其処に何があるのかは語られない…続きを読む