この作品は、三者三様の心の葛藤と、各々が
周囲の人々をも巻き込んだ大きく複雑な
模様を描く。
恰も、大阪の街を取り巻くJR西日本と
私鉄各社の鉄道路線の様に。
そして、読み終わった時に タイトル の
謎が解けるが、ここで、もうひとつ。
煽り文 が静かに心に沁みて来るのだ。
流行りのモデルの容姿を意識して、自分を
作り上げる事で 自己確立 をする少女。
その友達であり心の中に 後ろめたさ と
同等の 自己献身 を持つ少女。そして
自らの在り方に疑問を持ちつつも、
新たな出会いにより、確かな 何か を
掴みかけた少年。
三者三様に、コンプレックスを持つ。
語りは、一人ずつのパートに区切られており
それを全て読みながら、彼等の関係や
事情が 謎解き されて行く。
その構成自体も、物語を巧く纏める
手立てであったとは。
これは兎に角、読んで欲しい。
読み解くうちに様々な関係が浮かび上がり
恰も大きな都市構想が脳裏に広がる。
人の心も、周囲との関係も。それは
人々が日々営むものであり、人が造った
文明都市は、畢竟 人の営み の縮図でも
あるのだろう。
まさに、お見事。
この一言に尽きる。