一章の主人公・理桜は、自己肯定が苦手なこの春大学生になる女の子。想い人、親友、周りの目…きっと誰にも覚えがある人間関係や、日常の中に抱く葛藤の中で暮らしていく。なんてことないように振る舞いながらもその心中は決してそんなことはなくて――。一つ一つのシーンがじわりと心に沁みていきます。それはまるで優しい慈雨のよう。そのシーンの積み重ねを物語で追いかけた果て、起こった出来事に心震わされる。静かで、されど読み応えのある『小説』というものを体現した一作だと思いました。
人間関係の複雑さとか難しさにだんだん引き込まれていく感覚を持ちました。