概要
布団って、絶対安全領域じゃないんやで
母が夜勤へ出た夜、僕は窓の外から「ねェー」と呼ぶ声を聞いた。
それだけなら、近所の誰かの声だと思えた。
だが翌晩、声は集合住宅の階段の下から聞こえ、その次の晩には玄関の外まで近づいていた。近所にはないはずの踏切音。夜中に鳴き続ける蝉。廊下を這うように進む、濡れた音。そして少しずつ増えていく、声の言葉。
「ねェ」
「はァい」
「うン」
「みてル?」
やがて声は、夜勤中の母を完璧に真似て僕を呼び始める。
鍵をかけても、扉を塞いでも、声は止まらない。僕は自分の部屋へ逃げ込み、布団の中で朝を待つ。しかし部屋の外で鳴っていたはずの音は、一つずつ僕の近くへ移ってくる。
そして最後に、すべての音が消えた。
それだけなら、近所の誰かの声だと思えた。
だが翌晩、声は集合住宅の階段の下から聞こえ、その次の晩には玄関の外まで近づいていた。近所にはないはずの踏切音。夜中に鳴き続ける蝉。廊下を這うように進む、濡れた音。そして少しずつ増えていく、声の言葉。
「ねェ」
「はァい」
「うン」
「みてル?」
やがて声は、夜勤中の母を完璧に真似て僕を呼び始める。
鍵をかけても、扉を塞いでも、声は止まらない。僕は自分の部屋へ逃げ込み、布団の中で朝を待つ。しかし部屋の外で鳴っていたはずの音は、一つずつ僕の近くへ移ってくる。
そして最後に、すべての音が消えた。