主人公・藍羅の「メイドが好き」という趣味をめぐる葛藤が、第一話から丁寧に描かれている。嘲笑を恐れて好きなものを隠してきた人間が、「何者にでもなれる世界」というVRMMOのキャッチコピーに惹かれていく流れが自然で、感情移入しやすい。
高校の頃に空手を辞めて家庭科部に入り、メイド服の裁縫を独学で習得していく過程の描写もリアルで、藍羅のキャラクターの厚みを感じる。趣味を見せ場にしたVRMMOライフがどう展開するのか、早く読み続けたくなった。
「好きなものを好きと言える場所」という普遍的なテーマをVRMMOで描く、温かみのある作品だ。